第22話 ケモノ

 どうしてだろう?


「ひぎッ!? メ、メイちゃん……い、痛い……やめて……んはッ!」


「あら、もう音を上げちゃうの? ギャルのくせに、意外と根性がないわね?」


「そ、そんなの関係な……はひぃん!」


 大切な彼女が、目の前で好き勝手にもてあそばれているのに。


 俺は何も出来ず、呆然としている。


 何なら、動画まで撮影しちゃっている。


 こんなの、おかしいのに……


「……ショータ、ごめんね?」




      ◇




 ――数時間前。


「ジャジャーン! 今日のために、いっぱいいっぱい、仕込んでおいたよ♡」


 リナちゃんは、自宅のキッチンにて、エプロン姿でニッコリ言う。


「まあ、こんなにたくさん……申し訳ないから、お金を払うわ」


「そんな、良いって。メイちゃんにはお礼だから。ただし、そこのアホ2人は料金をちょうだいしま~す♪」


「「ひどッ!」」


「まあ、冗談だけど。今日は、あたしのおごりだからさ、好きなだけ食べてよ」


「よっ、リナ太っ腹!」


「バカ、腹はひっこんでいるし。出ているのはお乳だけ♡」


「えっ、お乳が出る?」


 ギャル友2人が、ギョッとした顔のまま、ギギギと俺に振り向く。


「い、いや、そんなことしていないから! ちゃんと、避妊をしていたし!」


 と、俺はつい声を大にして叫んでしまう。


「ぷはっ、焦りすぎ、ウケる」


「オモチャにしたいわ~」


「いや、オモチャって」


「ちょっと、あんたら。あたしのショータを好き勝手したら、許さないよ?」


「ちょい、包丁を構えるなって」


「ヤンデレかよ」


「あたしは闇深くありません~。どこまでも明るくキュートな巨乳ギャルです♪」


「「ちっ、ブリッコが」」


「あんたらも、もっと可愛くなりなぁ~?」


「大丈夫だよ。ちゃんメイに紹介してもらった、イケメン大学生の前では、ニャンニャンだから」


「そうそう」


「別に否定はしないけど、遊びはほどほどにしておきなよ?」


「はぁ~? リナだって、今まで散々、遊んで来たんでしょ?」


「で、イケメンのチャラ男はもう満腹だから、加瀬にしたんでしょ?」


「あんたら、追い出すよ?」


「「鬼畜ぅ~!」」


 ギャルが3人揃うと本当に騒がしいな。


 一方、見た目も性格も正反対の佐伯さんは、微笑んだまま元気なギャル3人を見守っている。


「っと、いけない。じゃあ、仕込みは済ませてあるから。あとは、このトリニクをモミモミして、油にドーンだよ」


「イエーイ、モミモミタイム~♪」


「いつも、揉まれる側だけど~♪」


「いやいや、あんたらは揉まれるほど乳ないでしょ」


「「あぁん?」」


「そうね、私も揉まれるほどないから……今日はたくさん、里菜ちゃんに育乳の極意を教わらないと」


「だから、メイちゃんはそんなデカ乳になる必要ないほど、清楚美少女なのに。こいつらと違って」


「もう泣くぞ、リナ」


「メイ様にばかり優しくしやがって」


「あと、ショータにはゲロ甘です♡」


「「死ねば良いのに」」


 ギャル友ズに睨まれるけど、リナちゃんはどこ吹く風。


「はい、じゃあみんな、モミモミするよ~♪」


 まるで、歌のお姉さんみたいに呼びかけて来る。


 文句を言っていたギャル2人も、佐伯さんも、俺も。


 みんなそろって、ポリ袋に入れた味付けトリニクを、モミモミし始める。


「あ、そういえば」


「ショータ、どうしたの?」


「隼士、今日は来ないって言ったんだけど、何か風景を撮影して欲しいって言われて……」


「はぁ~? マジで大貫キモいんだけど……っと、いけない」


「うふふ、良いのよ。私はちゃんと、隼士くんの良さを理解しているから」


「さすが、メイちゃん。てか、変に遊ばれる前に、さっさと別れなよ?」


「ありがとう、心配してくれて」


 佐伯さんは変わらずの微笑みを浮かべる。


「てか、このトリニク、けっこう弾力がすごいなぁ~」


「モミモミ、たのしいわ~」


「でしょ? 正におっぱいを揉むように、優しく、時に強くってね」


「じゃあ、里菜ちゃんは、お胸を揉むのが上手なのかしらね?」


「まあね~……って、メイちゃん?」


「うふふ、ごめんなさい、つい」


「さっすが、ちゃんメイ」


「メイ様って、何気にエロ娘?」


「それほどでもないけど……ちゃんと、興味はあるわ」


「ほ~ん? じゃあ、あたしが揉んであげようか? たぶん、大貫よりも上手だよ~?」


「そう? じゃあ、お願いしようかしら?」


「へっ?」


 キョトンとするリナちゃんに対して、佐伯さんは変わらず微笑んだまま。


「ちゃんと揉むと、胸は育つと思うし。たまには、違う揉まれ方をすれば、良い刺激になるかなって」


「メ、メイちゃん……そんなにお乳が大きくなりたいの?」


「まあ、そうね……谷間が出来る程度には」


「ふぅ~む……」


 リナちゃんは、小難しい表情でうなる。


「……よし、分かった」


 トリニク入りのポリ袋をテーブルに置く。


「じゃあ、ちょっとばかし、揉んじゃうよ?」


「えっ、マジで?」


「まさかの、公開スト◯ップ?」


「バカ、そんなんじゃないよ。これは……そう、エクササイズよ」


「ええ、そうね」


「あ、そうだ。ショータ、ここ動画にしなよ」


「はっ?」


「その方が、後々の参考になるでしょ?」


「あ、あぁ……」


「あと、エロ大貫に高値で買い取らせるから(笑)」


「リ、リナちゃん」


「まあ、それは冗談として……メイちゃん、本当に揉むよ?」


「ええ、お願いするわ」


「じゃあ、遠慮なく……」


 佐伯さんの背後に回ると、リナちゃんは……むんず、と。


「あっ……」


 きれいな口の端から、吐息がこぼれる。


「おぉ、これは……確かに小さいけど、やっこい♡」


「そ、そうかしら?」


「うん。形もきれいだし。ちゃんと育てれば、もっと良いお乳になるよ♪」


「そう? 嬉しいわ」


「じゃあ、揉むよ~」


 むにゅっ、むにゅっ、むにゅっ。


「はっ、あっ、やっ……」


 ……これ、何てえーぶいですか?


 ていうか、何で俺がカメラマンに……


「やっば、エッロ……」


「レズって、悪くないかも……」


 エロギャル2人も、すっかり興奮して見入っている。


「よいしょ、よいしょっと……ふぅ、こんな感じかな」


「はぁ、はぁ……リナちゃん、ありがとう。とても上手だったわ」


「えへへ、どういたしまして♪」


「それで、お願いだけど……早速、復習しても良いかしら?」


「へっ?」


「お勉強と同じよ。すぐに、自分のモノにしたいの」


「お、おう、その意気や良し……で、誰の乳を揉むの?」


「もちろん、里菜ちゃんよ」


「そ、そっか。でも、大きさ的には、トモかエツのどっちかの方が自分に近いんじゃ……」


「里菜ちゃんが、良いの♡」


「わ、分かった……」




      ◇




 何だ、この光景は……


「ひ、ひぎッ! そ、そこ、つまんじゃ……あああああああああぁ!」


 先ほどまで、うら若きJKたちでキャッキャしていた、爽やか空間だったのに。


 今は何ていうか、一気に淫靡いんびな空気が漂う。


 手指がまるで蛇のように縦横無尽に動いて、リナちゃんの巨乳を……弄んでいる。


「メ、メイちゃ、もう許ひてッ……」


「あら、もう少し練習に付き合ってちょうだい?」


 ギュコリッ。


「ひぎいいいいいいいいいいいいぃん!?」


 リナちゃんは叫ぶ。


 恐れ多くも、俺だってエッチをする時、それなりにリナちゃんをヒィヒィと言わせている。


 でも、ここまで乱れる彼女を見たのは、初めてかもしれない。


 少なくとも、俺は本番以外で、ここまでさせたことはない。


 こんな風に、ケモノみたいに……


「……も、もう無理ぃ……助けて」


「あら、もうギブアップ? ギャルって、意外と根性がないのね」


 佐伯さんが、半ばあきれというか、どこか挑発するように言う。


 リナちゃんは半ば涙目になって、口の端からよだれを垂らして、懇願の表情だ。


 その際、スマホのカメラを回す俺と、目が合った。


「……ショータ、ごめんね?」


 激烈な疼きが、股間に訪れた。


 な、何だ、この感情は……


 と、そこでようやく、佐伯さんは攻めの手を止めた。


「ごめんなさい、里菜ちゃん。あまりにも素晴らしいおっぱいだから……ついつい、勉強が過ぎちゃったわ」


 勉強って……むしろ、こっちの方が……というか、レベルが高すぎて……


「……ちゃ、ちゃんメイ。あーしにもしてくれない?」


「う、うちにも」


「え? う~ん……というか、唐揚げを作らないと」


「「あっ……」」


 ギャル2人は、いつもみたいにうるさくせがむこともなく。


「……あ、あたし、ちょっとおトイレに」


 リナちゃんは、逃げるようにしてキッチンから出て行く。


 俺は呆然としていたけど、まだカメラが回っていたことに気付き、そっと停止ボタンを押す。


「加瀬くん」


「は、はい?」


 佐伯さんと目が合う。


「ごめんなさい、加瀬くんの彼女に、ひどいことをしちゃって……」


「あ、いや……ハハハ」


 俺は言葉が出て来ず。


 代わりに、下から何かがこぼれそうだった。







※限定ノートにて、『芽衣の日記2』を公開します。


 閲覧は自己責任でお願いします。


https://kakuyomu.jp/users/mitsuba_sora/news/16817330653603871841






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