第50話 東京で降雪予報らしい

 新潟市内に住んでわかったことであるが、

「非降雪地」は、社会インフラ自体が雪に対応していないことがよくわかる。


 どうしても必要な仕事がある場合は、がんばって長靴を履いて、用事がある場所に行くということを考えなければならない。


 電車は雪国ですら除雪作業でダイヤは混乱するのに、非降雪地の電車がまともに動くなんてことは初めから考えない方が良い。


 東京は明治維新以来、急速にイナカが都市化したので、耕地整理されずに未整備のまま住宅地や都市が切り開かれた。

 東京は棚田みたいな非整形農地の上に都市を造ったのだ。


例えば、


 道路の勾配は8%以内にすることが定められている。これは道路構造令という法令で定められている。それ以前につくられた東京の多くの道路はそうなっていない。

 勾配が8%を超えていると、安全に停車できない可能性がある。

 

 東京の道路は降雪や凍結で停止線で停車できずに、交差点に進入して事故を起こす可能性が高い。そういう危険個所が多数存在するということだ。


 降雪地では一定の勾配がある場合はかならず「勾配」を示す標識が付いていて、「スリップ注意」や、線形が大きく降雪時には曲がれない可能性がある「急カーブ」は標識がついている。

 「クロソイド曲線」というのは大学で習う数学であるが、雪国の建設業のお兄ちゃんはそれを理解している。一定の速度で侵入して安全に曲がることができるようにするための道路線形である。東京の道では、そうなっていないカーブがたくさん存在する。


 雪道を走行する場合は、そういう標識を見て走るのだ。

 東京はそういうものが付いていないので、降雪時は道路を走行すべきでない。

 道路情報が少なすぎて、危険個所がわからないのである。


 信号も、降雪に対応したものではない。かつての信号は電球式で、電球の発熱で信号に積もった雪を融雪する仕組みだった。

 今は信号はLEDになり発熱しないので、雪や氷が溶けない。

 雪国で縦型信号になっているのはそういう理由がある。



道路除雪であるが、

 雪国は「堆雪帯」が道路に設けられており、モーターグレーダーで、道路の雪をそこに押しのけて、積み上げる場所が設けられている。


 それが非降雪地にはない。だから除雪のしようがない。除雪が出来ないのである。


 そういう堆雪帯がない市街地の道路、あまりにも多く雪が積もった場合、通行止めにするか、片側通行にして除雪して積み上げて、ロータリー除雪車で吹き飛ばしてダンプカーに雪を積む。


 新潟市の市街地で堆雪帯が設けられないような箇所はそのようにする。関屋海岸に雪捨ての場所があって、ダンプカーで雪を運び、そこから海に雪を捨てるようになっているのである。


 おそらく非降雪地ではそこまで念入りに対応できないだろう




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