はじめての
第22話 逸脱した
私のすべてを肯定してくれる人、
その優しさに触れた私は、
なんとか
つまり……
「
サービス提供者としての
無論、これは逸脱した行為であり、逸脱した好意だ。
「正面からはダメ……あくまでも偶然を装って……」
私が
運命の出会いを偽装する。そうすれば……なんとかお近づきになれるかもしれない。
だんだんと、危険思考に染まっている自覚はある。だけれど、もう止められない。はじめて見つけた恋のお相手。そう簡単には諦めたくない。気持ち悪いのは承知の上だが、もうやるしかない。
「問題はその方法……」独り言が多くなってきた。「どうやって偶然
その方法がわからない。現状の手がかりは……『おそらく県内に住んでいる』ということだけ。移動費のことを考えると、遠くに呼び出されたのでは儲けにならない。少なくとも3500円以内で県内の多くのところに移動できる。
山奥の……仙人みたいなところに住んでいる? いや、それはない。交通状況が悪いところだと、タクシー等を利用する必要が出てくる。自転車で移動して電車に乗っている可能性は? そう考えると山奥でも……
「ああ……もう……」
情報がなさすぎる。この広い県内で、たった一人の男性を偶然見つける? そんなことができるわけがない。もっと……もっと情報が欲しい。彼についての情報が、必要なのだ。
インターネットで検索してみるが、彼は一般人。当然大した情報が出てくるはずもない。時折、彼のようなサービスを提供している人が出てくるが、個人情報にはつながらない。
ガードが硬い……さすが
こうなったら……方法は1つしかない。
「もう一度、申し込む」
そのためには、やはりもう一度
タブーに触れる……それは私の人生にとってはじめてのことだった。今まで大人しく、ルールを守ってきた私が、こうして危険行為をしようとしている。
なんと、甘美な行為なのだろう。こんなに心臓が跳ね回るものだとは思っていなかった。なんと、甘美な好意なのだろう。
恋の味も、タブーに触れる行為の味も……はじめて知った。もっと早くに知っておけばよかった。
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