30,覚悟の有無
「………………………………」
オロチの話を
俺は今、何も言えずに
しかし、やはり俺は多少は
果たして、オロチに対しどう声を掛ければ良いのか?判断に
ただ、それでもオロチ達にはオロチ達の
そんな事は許されるものではない。きっと、オロチ達にとって安い哀れみや同情心など求めていないだろう。そんなもの、オロチ達にとって
そんな事はすべきではない。
では、俺は彼等にどう声を掛ければ良いのか?どうすれば良かったのだろう?一体何が正しいのか?
「…………
「……いや、少なくとも聞いて後悔したなんて事は無いよ」
真っ直ぐ、オロチの顔を見てそう答える。それだけは、断言出来た。
「……ふむ、そうか。少なくともお前は私の言葉を
そう言ったオロチに、俺は静かに
だからこそ、俺は悩みつつも俺なりの
きっと、それが今の俺にとっての最善なのだと信じて。俺はオロチへと手を差し伸べる。こいつはもう、俺にとっては
「オロチ。そして全ての王達に言おう……お前達にどうかこの手を
「何だと?」
オロチは怪訝に顔を
いや、或いは理解したからこそその
いや、きっと彼等は最初から
だからこそ、俺は手を差し伸べる。オロチに、王達に
そして、俺の考えを
「俺はもう、お前達を敵だなどと思えない。もう、お前達とは
「……………………」
「どうか、
そう言い、俺はオロチに手を差し伸べる。手を差し伸べ、
しばらく呆然としていたオロチだったが、それでもやがて何か
その首を横に
「……お前の考えは理解した。いや、ようやくお前という人間の
「……………………」
「残念ながら、お前の手を取る事は出来ない。お前と我らは
そう言って、オロチは俺を
俺は少なくとも、この時落胆していたのだろう。僅かに、胸の奥で
「
「……そうか。
落胆する俺に言った、オロチの言葉。
恐らく、オロチなりに
だから、か。
「お前の考えは
「……………………」
ああ、そうかもしれない。そう思った。なるほどね。
俺は、理想を述べるばかりで覚悟が
こいつの話は確かに理解出来る。理解出来るだけに、その言葉が胸に
オロチの話を聞き、それでも敵対する事など俺にはどうしても出来ない。
そう、もう俺にはこいつを敵と
俺にはもう
俺は、一体どうすれば良いのか?それが分からない。
……まるで
俺はただ、救いたいものを救いたかっただけなのに。きっと、それは
「……お前に一つだけ、私から言葉を残しておく事にする。お前が本当に
一体誰を救いたいのか?本当に救いたいと思っているのは、一体誰か?
全てを救って
誰かを救うという事は、つまりは誰かを救わないという事でもある。誰かに手を差し伸べれば、それはつまり誰かをないがしろにするという事。
そういう事だから。
俺は、一体どちらを
もう、何も分からなかった。
「……此処では私から
次こそは、お前達人類を
そして、オロチは俺の前から
「……………………」
分からない。もう、何も分からない。
俺には、もう何が
一体、俺はどうすれば
「……分からねえよ、何も」
俺にはただ、それだけを
ただ、それでも……
もし、それでも
俺は、それでも全てを救う
そう、
・・・ ・・・ ・・・
視界の利かない
「あれが、最近母が気に掛けているらしい
「……ああ、その通りだ」
闇の中には、複数の目が
端的に言えば、オロチと会話しているのは巨大な
彼は牙を打ち
「ふむ。中々甘いというか……優しすぎる
「ああ、そうだろうよ」
蜘蛛王ツチグモ。彼とクロノはきっと、性格的に
そもそも、あの甘い性格では
だからこそ、オロチはそれを
ああ、きっとそんな自身も甘いのだろう。そう、オロチは内心苦笑を
そして、ツチグモはそんなオロチの考えを正しく
理解し、彼の事も甘いと内心で
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