29,黒き過去と色あせない希望
全ての始まりは、
我らは
何故、我らは生み出されたのか?そもそも、誰が何のために我らを生み出したのかだと?
それは
我らは等しく業である。人類が生み出し、人類を
奴、
即ち、奴の考えをそのまま
奴は、架空塩基などというモノを使ってまで
奴にとってこの世界は、この世界に存在する全ては平等に
何故、人類は滅びないのか?何故、世界は滅びる時に滅びないのか?
何故、こうも人類は生き汚い?全て滅びれば良い。こんな
奴は、そう常々言っていたさ。
……分からないだと?何故、そのような考えに
そういう男なのだ、奴は。影倉ヨゾラという男は。
生まれた時から奴は
世界の全てが
そう、
それ故、そんな世界など
分からないか?お前からすれば、理由なき
そもそも、悪魔と呼ばれた事に
奴は、その始まりから既に破綻していた。
だからなのか?奴は
私こそ知りたいものだ。もし、
少なくとも、今のように深い
何故、奴のような
何故、母は奴の
せめて、母の親が奴でなければ恐らくは母もこんな苦しみを負わずに済んだのだろうに。何故?
そんな事、我らが
なのに……
それなのに、だ……
それを、奴は全て
何故だ‼何故、世界はこうも
分からない。何も分かりはしない。分かりたくもないよ……
……しかし、そんな我らにも当然希望はある。そんな我らにも、心の
それこそが、母の存在だ。星のアバター。今は白川ユキと
なのに、人類はそんな母に絶望を
母は自ら、絶望の道を
あの日、人類文明が一掃された
全てが終わり、そして
人類はあの日、残らず滅びる筈だった。しかし、そうはならなかった。何故か?
きっと、母の中に彼等の存在が。あの時、母の前に現れた
遠藤と名乗った二人は、世界を滅ぼそうとする母に言った。世界を滅ぼさないでくれと。世界には
そして、母を前に優しく手を差し伸べた。そんな事より、一緒に世界を楽しもうと母に手を差し伸べた。世界を滅ぼそうとしたにも
何故、彼等は世界を滅ぼそうとした母を前にしてそんな事を言えたのか?それは我らにも全く理解の
少なくとも、彼等は母に手を差し伸べた。笑い掛けた。
そして、少なくとも母はそんな二人の言葉に耳を
まだ小さく、
そんな時だった。状況が一変したのは。全てが
手を差し伸べた二人の人間。彼等は共に
背後から奴が、影倉ヨゾラが
我らの
奴は言った。全ては滅びれば良いと。こんな世界など、
壊れたような笑い声を上げながら、そう
いや、やはり最初から破綻していたのか。後になって考えてみてもそうとしか思えないのだ。
そして、奴は既に
しかし、母はそれに
分からないが、それでもきっと母はあの男を
母は、父と呼んでいた奴を殺してそのまま瀕死の二人に向き合った。
果たして、母は彼等と何を
己の人生を、
それこそが、母の
・・・ ・・・ ・・・
世界を焼く
少女は無機質な
「何故、笑っているのですか?」
「……ふふっ、別に。ただ、
「……息子?」
どうやら、夫婦には息子が居るらしい。しかし、少女は何故夫婦が息子を想いながら笑うのか。それが
故に、少女は
「貴方達は、たった一人遺された息子を想いそれでも笑うのですか?」
「……ああ、そうだ。…………あの子は、俺達の唯一の
「希望……」
「……そう、だ。あいつには、俺達の全てを……
そう言って、男は口から血を
少女には分からない。何故、どうして死にゆく者がこんなにも笑っていられるのか分からない。何故?どうして?
「何故?どうしてそんなに笑っていられるのです?どうしてそんなに
まるで、
それでも、女性は
まるで、とても良い事を思い付いたかのように。
「……そうだ、
「あの子……?」
「ええ、
「それ、は……」
少女は言葉に詰まる。まるで、少女に
そして、事実それは少女を
「貴女の名前、は……これから…………
そのまま、女性は
既に息絶えた女性に、そして既に虫の息である男性に少女は
その、
「分かりました。私の
「……ああ、ありが……とう…………」
そう言って、男性は心底満足するかのように息を引き取った。
一組の夫婦が残した祝福と言う名の呪縛。それを胸に
星のアバターだった少女、白川ユキは
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます