24,かつての残影
それはずっと以前の
当時、文明が高度に発達し超高性能な
そんな技術革新の進む、人類が
当時の俺は、絵本に出てくる
特に憧れたのは、ある絵本に出てくる
あらゆる
深く深く、それこそ心の深奥へと。奥深くにある心の
それは、まさしく俺の中の理想像であったと思う。俺の中の、理想の英雄像だ。理想の英雄譚だ。
これは、そんな俺の幼少の頃の話。ある少女との出会いの
・・・ ・・・ ・・・
それはある日の事。俺は父さんと母さんと一緒にとある
というより、俺が
決して嫌な顔をせず、俺を連れていってくれた。深い
「じゃあ、
「うん!」
母さんの言葉に、俺は笑顔で
と、その前に自動販売機でジュースを
ジュースを片手にソファに戻る。其処には、既に一人の少女が
おちついた
しかし、少しだけ違うのはその少女が俺とは違ってとても
その表情が、当時の俺にはつまらない顔をしているように見えた。だからだろう、俺は思わずその少女に声を掛けていた。
「ずいぶんとつまらなそうな顔をしているな?何か
「……………………?」
少女は、初め自分に声を掛けられたとは思わなかったらしい。左右を見回して、次に俺の方を向いてこてんと首を
そして、同じ
「ずいぶんとつまらなそうな顔をしているな?何か、嫌な事でもあったのか?」
「……嫌な事?」
小首を傾げながら、少女はそう俺に
その反応が俺の
「いや、首を傾げられてもな?つまらなそうな顔をしていたからさ。どうしたのかなと思って?」
そんな俺の言葉に、更に少女は首を傾げる。
そもそも、そんな質問をされる事自体が予想外だったらしい。そんな様子だ。自分の顔をぺたぺたと
「……私、そんなにつまらなそうな顔をしていましたか?」
「いや、聞き返されてもな。
「分かりません。私、そんな事などこれまで
「考えてこなかった?」
今度は俺がきょとんとする番だった。その言葉の意味を理解出来なかったからだ。
しかし、俺はしばらく考えた後でこれだけは言う事にした。にっこり笑って言う。
「……まあ、よく分からない話はこの際他所に
「……?何故、
「どうしてって……」
俺はにっこりと満面の笑みで答える。清々しい程に、単純明快な理由を。
世界の
「その方がカッコいいだろう?」
「かっこ、いい…………?」
「ああ、知っているか?真の
「英雄、ですか?」
「おうっ、それでいてどんな罪とか罰でも笑って受け入れて、皆を
「……………………」
俺の言葉に、しばらく理解出来ないように
その様子がおかしくて、俺は思わず笑ってしまった。まあ良い。
しかし、しばらくして少女の思考タイムは
「くそっ、まるで話にならん‼おい、
「はい、お
そう言って、少女はそのままずかずかと
俺は、しばらくきょとんとその後ろ
しばらくして、俺も
けど、俺の顔を見てそれも
「お待たせ、じゃあ帰ろうか」
「うん……何かあったの?」
「貴方が気にする事じゃないわ。大丈夫よ、何も
そう言って、母さんは俺の頭を
だからだろうか?俺もそれ以上気にする事はなかった。
所詮、俺にとってはその程度の記憶だったのだろう。所詮、その程度でしか。
「今日の夕ごはんは何が良い?」
「ん~っ……じゃあハンバーグ‼僕、母さんのハンバーグ好き‼」
満面の笑みで答えた俺に、両親は
そして、俺と父さんと母さんはそのまま帰っていった。
……この時、俺は気付いていなかった。気付く事が出来なかった。
この時の
そして、ベッドに
そう、俺はまるで
・・・ ・・・ ・・・
「……………………」
「ん?どうした」
少女は考える。あの時、少年が言っていた言葉の
分からないなら、自分で考える。分からないからと言って安易に他人を
しかし、
…………
「おい!」
「っ⁉はい、何でしょう?」
「……何があったかは知らんが、お前は所詮世界を
「はい」
少女は
「お前は世界を滅ぼす
「はい」
青年は言った。文字通り、
「そう、それで
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