第14話 おじさんの熱い夜

【前話ダイジェスト】

あるんだよ…神様にだって

「デートってこんな感じなのでしょうか!」

って心踊る瞬間


【本編】

 新たな我が家にたどり着きました。虹彩認証って便利です、食品満載のエコバッグを両手に抱えたままでも鍵を開けられます。ステキすぎです。


「しかし、まぁ──」


 未だ、がらんとした寒々しい室内に、人恋しさを感じてしまいます。思えば、天界に来てから、まだひとときたりとも孤独を感じていません。私の周りには、常に誰かが居て下さいました。この縁は本当に大切にしたいと思うとともに、良縁を与えてくださった神に感謝したい気分で──あれ? そういえば、私も神の末端くらいに配置するようなことを、言われたような違ったような……まぁ気にしないほうが良さそうです。私は私ですから。


「ダメですね、1人になるとブツブツと独り言が増えてしまいます」


 そんなことをさらに呟きながら、私は食材をエコバックから冷蔵庫へと移します。これが終わったらパントリーにも常温保管の食品をストックです。そう、パントリーに、ですよパントリー! 存在は知りつつも、そんな豪華な部屋に住むことなど無かったのですが…なんとここにはあるんですよ! 単身者用の住宅なのにですよ! そりゃテンションも爆上がりするってものです。


「ふふふーん♪ふふーふん♪」


 ご機嫌が止められません! あ、百均とかあるんでしょうか? 今度大量にBOXが欲しいです。収納は楽しくスマートにって、こんまりさんも言ってましたよ? 立てて見やすく、でしたね~! こんまりさんとは誰でしたか? まぁ気にしません、ご機嫌ですから♪


「ふふんふん♪ ふふんふん♪ オレっ♪」


 さぁて、いよいよ調理開始です。カレーにシチューに和洋折衷なんでもござれですよっ! エコバッグ両手に満載で購入してきましたからね! 今日は何を作りますかね?

 あ、楓さんの様子も正直気になりますから、お裾分けできそうなメニューのほうがいいかもしれません。


 粗方の食材は揃ったので、調理器具を見てピンときた食事を作ることにします。日も沈み、時間的なリミットもありますから手軽なもののほうがいいでしょうね。


「さぁて御開帳~!」


 シンク下収納を引き出します。真っ白で撥水加工が施された引き出しがスルスルっと滑り!


「おぉ! 綺麗ですねぇ!」






 綺麗サッパリ何もありませんよ?






 これは一体どういうコトでしょうか? あ、違うところ……吊り戸棚とか「ピンポーン」ですか、えっ?


 私が悩むのと、インターフォンが鳴ったのは、ほぼ同時でした。





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