第7話 突然の結婚報告
それから数年の時が経って二十八歳を迎えたの年の瀬、突然彼女から会いたいと連絡があった。
「急に呼び出してごめんね。実は、みっちゃんにどうしても直接会って話したいことができて……」
神妙な面持ちで彼女は続ける。
「私ね、結婚することになったみたいなの……」
一瞬時が止まったような気がした。聞き間違いだろうか。
彼女の恋愛事情に何か発展があったことは予想していたが、想像の斜め上を通り越したゲリラ報告に開いた口が塞がらない。
「おめでとう……と言いたいところだけど、だいぶ話が急じゃない?しかも、なったみたいってどういうこと?」
唐突すぎる展開に、どこから突っ込んでいいかわからない。
「前に話したお見合いおばさん覚えてる?」
お見合いおばさんとは、彼女のお母さんの友人で、ことあるごとに彼女に見合い話を持ちかけてくるらしい。いわゆる、近所のお節介おばさんだということは聞いていた。
「そのおばさんの紹介で、一か月前に知り合った人がいるのだけど、なんか父親同士が知り合いだったみたいで意気投合しちゃって……とんとん拍子に話が進むと思ったら、いつの間にか家族の顔合わせの日程まで設定されちゃってたの」
彼女も戸惑いながら打ち明けてくれた。
「それで、とりあえず顔合わせしたんだけど、彼のお父さんの第一声が、式の日取りはいつにしますかって……まだプロポーズどころか付き合おうとも言われてなかったから、その場で皆固まっちゃった」
なんてドラマ的な展開なんだ。急すぎる話題に全然頭が追いつかない。
「それで、その人からはちゃんとプロポーズしてもらえたの?」
「顔合わせが終わった後、父が先走ってごめんって。その後、二人で話したんだけど、結婚を前提にお付き合いしてほしいとは言ってくれた」
両家ともご両親が舞い上がって、色々順序が逆になってしまったのか。それにしてもこんな急すぎる話を、彼女はどう受け止めているのだろう。
「真耶はそれでいいの?まだその人と知り合って、間もないんでしょ?」
「うん、でも不思議と一緒にいると落ち着くんだよね。婚活でもそこまで相手の人と上手くいったことなかったのに……こんなことが本当にあるんだなって、自分でも信じられないくらい実感湧いてないの」
「そっか……じゃあ、きっとその人は、真耶の運命の人なんだね。おめでとう」
「ありがとう。展開があまりにも早すぎて、これからどうなるかは私にもわからないけど……もし結婚式の日取りが本当に決まったら、そのときはみっちゃんのこと一番に招待するから絶対来てね」
「もちろん、何があっても絶対行くよ」
「うん、約束だからね!」
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