【新】Blue ~LOVE WAVE!~

マクスウェルの仔猫

第1話 夏休みのはじめ、バスに乗って


(ううう……夏休みなのに追い出された。たった二日間!ゴロゴロしてただけなのに。バス、涼しくて気持ちー。私の夏はこうやってはかなく過ぎてくんだね……)


(『明里、宿題は?八月迄に半分終わってないと来月のお小遣い無し!』とか鬼だぁ!お小遣いなかったら、コツコツ貯めた貯金から下ろさなきゃ!……あ!高月君?!)


(バス停の一番後ろに並んでる!高月君に夏休みも会えるなんて嬉しい!はい!イメージトレーニング!これ大事だよっ!わくわく☆)





『あれ、中濱なかはまさん?こんにちは』


『あ、高月君だ!こんにちわ!(にこっ!)』


『うん。図書館で勉強しようかと思って』


『そうなんだ!私も図書館で宿題しようかなって。その方が夏休み楽しいよね』


『さすがだね。もしさ。よかったら一緒に勉強しない?』


『ホント?!学年上位の高月君と勉強したら絶対はかどるし、楽しそう!嬉しい!』


『よかった。中濱さんに会えて、嬉しいよ(にこっ)』


『えっ?それってどういう……(ポッ)』





(そしてそしてだよ?高月君は顔を赤らめた後……盛りすぎ?……むむむ!私、こっからだよっ!)


「……さん」


(でも、さ。夢見たっていくない?マンガじゃないけど、カッコいい片想い男子とさ?これをきっかけに、一気に縮む距離……あっ!ほっぺちゅっちゅはもう少し待って?こ、心の準備……え?我慢できないの?高月君、可愛いがすぎるよ!!……えへへ。ホントは私もなんだ。ほっぺにしたい……です)


「……中濱さん?!」


(なんか、いつも読んでるマンガのヒロイ……登場人物になった感じ。かも、にひひ。……あのね?明里って呼んでほしい……な)


「な、中濱さん!」


(高月君驚いた顔して、どうしたの?早く早くぅ。あれ?また最初に戻っちゃうの?……!!!)


「……ふああ?!本物のた、高つ、けほっ!けほけほ!」


「だ、大丈夫?!これ飲む?!」


「けほっ!あ、ありが………………、ひはー。ごめんね、けほ……っていうか!いつからそこにいたの?!」


「バスに乗ったら後ろに中濱さんが見えたから……でも、独りごとを言ってて気付かれなくて」


「そ、そうなんだごめんね!目ぇ開けて寝てたかも!……寝言かも!」


「う、うん、理解した。……隣、座ってもいいかな?」


「は、ハイどうぞ!喜んで!」


(びっくりしたぁ……でも、嬉しいな。久しぶりに隣同士、それに学校より距離が近いよ、ふひひ)


「ペットボトルのお茶、飲み終わった?捨てとくよ。慌てて差し出しちゃったから……ごめんね、飲みかけで」


「ぶふぅ?!嘘?!こっちこそゴメンなさい!わ、私が捨てとくからだいじょぶ!だいじょぶ!」


(ぶふぅ!とか言っちゃった!恥ずかしい!ミニタオルミニタオル!で、でもでも、高月君と間接、ちゅ、う。きゃー!きゃー!ペットボトルは、家宝にするんだぁ!)


「ありがとう。それで、ええと、中濱さんも図書館に行くんだっけ?」


「そうだよ!も、って事は高月君も図書館に行くの?」


「うん。よ、よかったら、一緒に勉強する?」


「わ!ホントに?絶対はかどるし!嬉し……」


(……あれ?私、図書館に行くって言ったっけ……?)


「図書館に行くって言っ……………………!!!あ、ああああああぁぁぁ?!」


「あ……うん。全部聞こえちゃってた、かな」


「きゃー!!ウソだよね?!忘れて!!忘れてよぉ!これでお願いします!揺さぶるね?ひああー!やだやだやだやだ!忘れてえええぇぇぇ!」


「うわ、わ、わ……揺さ、ぶっても、忘れない、からー」


「わかんないじゃん!わかんないじゃん!」


【ピンポーン。バスの車内では、お静かに願います】


「「は、はい!すみませんっ!」」


「……あ。うう……揺さぶったら気分が……」


「ぼ、僕も。車に酔うって、こんな感じなのかなぁ……」


「ご、ごめんなさい……」


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