余ったら絶対に恥ずかしいやつ

 いやぁ、コミケ超楽しかったですね!人多いんで、ちょっと個人的に野球の大会みたいなテンションになってきた。まだ一日目が終了しただけですが、ガラにもなく熱狂しちゃいましたわ。


 何があったのか知らないが、電車から降りた時点では口数の少なかった雪兎くんですが…。オタクの性でしょうね。会場に入った途端、人が違ったようにイキイキしてきました。『スクリューボール・コメディ』で、ピノが覚醒した回を思い出したぞ。

 絨毯爆撃と言う例えが相応しいか、目についた端からBL同人誌を買うわ買うわ。二日目から参戦のモブ子らに依頼された本もあるようですが、よく小遣い足りますね。伊勢嶋医院の診療費、こんな所に消えて行ってるんやなって…。

 オレは特に目当ての本とかなかったんですが、気がつけば『ピノくん総受け本』なる物を数冊買っていたぞ。これも、コミケの魔力のなせる技か。オレはオレで、妹から頼まれている本がありましたしね。

 そういや夏祭りから数日経って、すでに屋外で手を繋ぐのにも慣れてきましたよ。会場内でもたまに恋人繋ぎしてたら、腐女子(と腐男子)たちが嬉しそうな事。雪兎くんは恥ずかしそうにしてますが、何だかんだ人に見られるのが好きなんやろ。

 コスプレエリアとやらに移動して、華麗なるレイヤーたちの姿も目に焼き付けましたよ。オレも野球のユニフォーム着ていったら、まんまコスプレになってたのかなぁ。実際、本を買う時に売り子さんから「豪くんに似てるって言われませんか?」って言われたし(言われてます)。来年は、私服だと言い張って着て来てやろうかな。

 ってな訳で、コミケの報告は終了!ここからが、本編ですよ。改めまして、みなさんこんばんは!りっくんこと、長谷川理玖です!

 一日目は早めに撤収して、近くのビジネスホテルに荷物を置いて休む事になりました。二日目もやはり早めに撤収して、東京観光してから帰る予定です。実際に予約したのは雪兎くんですが、オレも遠征とかで泊まるので勝手は慣れてますよ。ラブホも憧れるけど、敢えてこう言う機能的な所でってのもソソるなぁ。

 チェックインして、部屋に入ってみましたが…。まさかの、ツインベッドかよ!?日和りやがったな、この野郎!どうせ、一つのベッドで寝るでしょ?セミダブルとかで、良かったじゃん!

 まぁ、いいです。差し当たって人の目がなくなったので、雪兎くんとキスするのに忙しい。しばらく堪能した後、大欲じょ…浴場で汗を流す事になりました。部屋にもシャワーがありますが、せっかくだから大きな湯船に浸かりたいしね。まぁ言うて、この後2回ほど部屋のシャワーを使う機会があると思います(予言)。

 やっぱ、足を伸ばせる風呂はいいなぁ。雪兎くんは、自宅の風呂がデカいので毎日伸ばして浸かってるらしいですけど。いいなぁ、一度雪兎くんと入ってみたい。まぁ多分、エッチな事しかしないでしょうがね…。

 部屋に戻って軽く休むだけのつもりが、二人してグッスリ眠ってました。朝早かったし、長時間の移動で疲れてましたからね。何ならオレ、下手な試合よりよっぽど疲れてたかも知れん。

 晩ごはんと言うには遅めの時間に起きたので、贅沢してピザ宅配してもらう事になりました。ビジホの部屋に、配達してもらえるかって?それこそ、遠征とか合宿でしょっちゅう利用してます。ピザ屋の店員さんも、慣れたものですよ。

 ってか雪兎くん、宅配ピザ食った事なかったんですって。家に帰れば、母親の沙都子さんが美味しい手料理作ってくれてますからね。物珍しそうに、美味い美味い言うて食ってました。

 さてさて、前置きがまた長くなりすぎた!本当に、本当にここからが本番ですよ!そうですね、雪兎くんがコンドームを買う話でしたね!

 え?コンドームがどうとか以前に、雪兎くんが本番を許したのかって?何だかんだで、付き合い出して二ヶ月にも満たない訳ですからね。そこは誠心誠意、彼への恋心をお伝えしましたよ!前日のLIMEでのやり取りではありますが、決してエッチ目的だけではないって。雪兎くんを本当に愛しているからこそ、身体でも繋がっていたいって…!

 え?具体的には、どんな文面だったかって?

 『明日けつあな確定な』

 『やだ』

 『だめ』

 『きまり』

 『痛い』

 『やだ』

 『はいしか言っちゃダメ』

 『痛いもん』

 『罰だから』

 こんな感じです。どう?誠心誠意さが、よく伝わってきたでしょ?

 ってな訳で、茶番は終了!ここからが本番…って、こればっか言ってるな。本当の本当に、本番ですから。雪兎くんが、コンドームを買う展開ね。

 「…って、何で俺がぁ!?りっくん、自分で持ってくるから用意しなくていいって言ったじゃん!?」

 「いやー、ついうっかり忘れてしまって(棒)。本音を言うと、雪兎くんが羞恥にまみれてゴム買う姿を見てみたかった。あ、ヘアゴム買うってオチはもう使えないからな?」

 「うぅ、嫌だなぁ…。何だかんだで、ホテル近くのコンビニまではやって来た訳だけど。どうしても、俺か買わなきゃ駄目かなぁ?」

 「なに?何なら、オレは生でヤってもいいんだけど」

 「そ、それは駄目ぇ!後始末が大変なだけじゃなく、感染症とか色々あるからね。相手を大切に思うからこそ、絶対にゴムは使わなきゃ駄目だ!…分かったよ。りっくんは、どんなゴムを嵌めたいのかな?」

 「まぁ、サイズとしてはXXLじゃん?」

 「それ、余ったら絶対に恥ずかしいやつじゃん?そもそも、コンビニに売ってないからね?」

 「ちっ、仕方ねーな。薄さ的には、どうするよ?着けてるのを忘れるレベルの、0.01mmかな?」

 「あんまり薄いと、色々不安だなぁ…。初心者だし、間を取って0.02mmくらいでね。むしろ、ゴムの臭いがキツいと萎えるんだけど…」

 「それは分かる。でも、店員さんに『開封して、香りを確認しても宜しいでしょうか?』とも言いづらいしな。無難に、オ○モトのゼロツーとやらでいいのでは?」

 「それ、父さんが株式保有してる会社のだ。証券コード:51○2。いつかは、中国人観光客の爆買いで大儲けさせてもらったって言ってた」

 「マジか。せっかくだから、株主優待とかでコンドームの試供品送ってくれたらいいのにな。よし、じゃあこれに決定〜!オレ、雪兎くんがゴム買う姿を遠くから撮影してるから」

 「なんでさ!いいけど、それじゃ俺が『この後、女の子とヤる』か、『好奇心で買ってみた』と思われて終わりじゃない?」

 「それなんだよな。雪兎くんに羞恥を抱かせると言う、当初の目的が…。間を取って、『オレが買ってる横で、腕組んで待ってる』とか?」

 「何と何の、間取ったの?いいよもう、俺が買ってきますから。りっくんは、横で彼氏面して待っててもらえますか」

 「仕方ねーな。それで我慢するか。ところで、ゴム買う時に恥ずかしくない店員さんてどんなんだろ」

 「一般的には、男店員のが恥ずかしくないんだろうけど…。俺の場合、逆に女の店員さんのが気楽かなぁ」

 「それな、分かるわ。BL本買う時にも、何となく女店員のが気楽だしな」

 さて、そんなこんなで雪兎くんにコンドームを買わせるミッションは成功したよ。だいぶヤケクソ入ってたけど、何だかんだ羞恥してる顔が見れて楽しかった!

 ちなみに、店員さんは胸に初心者マークつけてるような高校生くらいの女の子だったよ。当たりっちゃ、当たりの部類だろう。オレらとそんなに年は変わらないだろうけど、「あらあら、若いのねぇ…」って感じで妙な貫禄をもって対応された。

 さて、あとホテルの部屋に帰ってヤる事ヤるだけだ!防犯カメラが仕掛けてあるだろうから、ガッつきはしなかったけど…。エレベーターの中あたりから、すでにオレの限界は近づいていた。


 「オレ、本当にこの後が楽しみ…。やっとやっと、雪兎くんと一つになれるんだなって。今日この日のために、2日もオナ禁したんだぜ」

 「短っ」

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