第293話 とんでも理論

子どもがまだ幼稚園に通う前のお話。


田舎にも街ほどではないものの子どもたちがそれなりにいて、あちこちで遊んでいる声が聞こえていた頃、のん気に車の免許もなく専業主婦で家にいる私に目を付けた人がいた。


使えると思ったのだろう。


家にずっといるのなら、自分ちの子どもを預かってもらってもいいじゃないかと思ったらしい。


まずは子どもに「あのおばちゃんの所に行って、遊んでもらいなさい」とでも言ったんだと思う。

急にそれまで挨拶もしない子たちがまとわりついてくるようになり、気味が悪いからかわしていたのだが、洗濯ものを干している間に開けていた戸から侵入された。


その頃はまだ「子どもには優しくすべき」と思っていた生ぬるい若い私は、適当にお茶でも飲ませて帰らせればいいかと思っていたのだが、奴らは手ごわかった。


ジュースを所望し、出した飲み物を盛大にこぼし、入るなという部屋に入り、触るなといったPCに手を出す。


母親が帰宅しただろう時間に、「もう帰って」と言っても「私たちまだいいもーん」と言って帰らない。よくないから、帰るよう言ってる。

はい、これ、きょうだいで襲来。


それが3日続いて、さすがにもう「仏の顔も三度まで」でいいだろうと、「二度と寄こすな。これ以降絶対関わらない。」と親に言い渡した。


なんかね。子どもは可愛いものだとか、地域で育てるものだとか、そんなことを言ってた気がするが、可愛くないし、まず自分で育ててから言えと。

放牧するなと。

正しい放牧は、自分の管理地でやるもので、他人に委ねるものではない。


目を付けた専業主婦の私に未練があるのか、自分の子どもたちを遊びに連れていけとか、自分ちの洗濯物を取り込んでおいてほしいとか、家にいるものはただで使える使うべきという理論らしくて、今でも様子を伺っているのがわかって不快。

在宅で仕事しているというのも家にいるものであるのだから、近所の人が使えるって勝手すぎるでしょ?


Jアラートじゃないけれど、とんでもないタイミングでとんでもないことを当然のことみたいに話をしてくる人間がいるから、常に用心した方がいい。




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