第195話 七輪

いつ購入したのか覚えていないが、倉庫から七輪が出てきた。

購入者は私。確か、さんまを七輪で焼きたかったのだ。

それと炭もひと箱分。


さんまを焼く季節には庭には蚊がわんさか出てきて、涼しいということもないから、諦めたのだと思う。

もう、さんまは大衆魚でもない。

焼くとしたら、干物になるかな。


焼き鳥を自分の家で焼くのにもこの七輪を使ってみるのはいいんじゃないか。

自分の中で七輪をどう使おうか盛り上がってくる。


勢いで買ってしまって、後々使わなくなった物としてよく出てくるものは大抵うちにある。

そしてそこそこ使っている。


パンを焼くためのホームベーカリーも、パンドミーを焼いたり、ベーグルの生地を作ったりで使っている。

燻製鍋も持っていて、年に数回焼き芋を焼いたりしている。

これは本来の燻製は、あまりいい香りを付けられなかったので焼き芋機になっている。


タジン鍋のような小さな土鍋も。

この土鍋はそのまま食卓に出せるものなので、卵とじや揚げ出し豆腐を作って出したり、ステーキを焼いて余熱待ちの時間に入れておくために使っている。

もやしと薄切りの豚肉を蒸しものにするのもそれかな。


一応、死蔵しそうなものは購入しないと決めているから、

「これ使ったの何年前?」とか「使っていないなあ」というものは我が家には少ない。

前に書いたカヌレ型と、先日発掘されたばかりのこの七輪くらいだ。


七輪を今年は使うために、まずは自家製の干物を作ろうと思う。

それで、庭の片隅で焼こう。

田舎だから許されることだ。

街の住宅街でそれをやったら怒られたり通報されたりするだろう。

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