第165話 来日
私の好きなバンドが来日して、今週末ライブがある。
メタルの祭典、ラウドパーク。
いつか行ってみたいと思いながら、会場までの距離や時間や経費などを考えると断念するしかない。
複数のバンドが演奏するので、チケットも単独のものより高くなるからなあ。
10数年前に、単独ライブに一人で行ったことがある。
車を使ってもいいと夫にOKを貰って、往復フルで高速道路を利用して、大きな駐車場に車を停めて、そこから電車で会場に向かったのだ。
会場近くまで行くとなると、かなりの街中に入らなくてはならず、田舎道しか走ったことのない人間には困難で、断念。
当時はカーナビもなかったから、道に迷うという可能性もあった。
家に帰りついたのは夜11時過ぎだったと思う。
大きな駐車場は夜遅くになると出口の一部が閉鎖されて、どこから出たらいいのかわからずにかなりぐるぐると回って出られる場所を見つけた。
これが結構疲れた。
夜の高速道路も、街からどんどん田舎へ走っていくと真っ暗闇で時々ハイビームにしないと道を見失うという状態。
ライブで気持ちのいい汗をかいた後に、駐車場や高速道路で嫌な汗をかいた。
無事に家に帰りついた時は泣きそうになった。
いい歳の大人が自分の勝手で街までライブに行っておきながら。
夫に「おかえり」と迎えて貰ってホッとしたなあ。
私は片道30キロくらいまでの所にしか普段出かけないから、それ以上となるとかなり緊張してしまう。
それでもその壁をこえてまで、その時はライブに行きたかったのだ。
そのバンドが今回来日してきた。
すっかりメンバーが若返ってしまったが、去年は新しいアルバムも買った。
ライブに行けないのは決定しているが、セットリストが発表されたら確認しよう。
かなり遠方から心だけ参加しよう。
WBCで日本が優勝したから、少し心が穏やかである。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます