第9話 不思議な保護者
田舎は子どもの数が少ない分、保護者の付き合いも難しい。
だいたい長男嫁で同居しているお宅ばかりで、街から来た気楽そうな
核家族には最初からいい印象がないようだった。
何か集まりがあっても、うちは核家族なので子どもを預ける先もないし
夫が出張となればお手上げなんですが。
同居嫁たちは、ほぼほぼ日中は外に働きに出ている。
うちは、途中までは完全に専業主婦だったので、ちくちくと嫌味を
言われていた。
大人の数だけ車があるわけでもないし、大人の手は夫婦だけだから
核家族の妻というのは、外に出にくいというのがわからないらしい。
子どもが病気したら祖父母が病院に連れて行ってくれて
看病もしてくれるという方が甘えてると思うのだけれど
そこは全く考えないみたいだ。
他所から来て気楽に暮らしている憎い一家として、
やたらめったらPTAでも役員をさせられていた。
頻度がおかしいと誰もが思っていても、いわゆるボスママが
「あの人にやらせればいい」と言えば決まってしまうそうだ。
下手に逆らうと自分が何されるかわからないから
そこは私や夫が生贄になっておけばいいという総意なのだろう。
「また〇〇さんが、あなたに役員をやらせようと言っていたよ」とか
こっそり教えてくれる人もいたが、教えてくれるくらいなら
そういうのは良くないよとそっち側で言ってくれていた方が親切だと
今でも思っている。
そういうPTAでの役員を嫌々ながら何度もやっていると
なんとなくこの田舎の保護者の構図が見えてくるのだ。
地元のゆるい公立の進学校に通っていたことが唯一のプライドの人。
そういう中学や高校での先輩後輩の関係を引きずる人。
田舎あるあるなんだろう。
人数が少ないから、子どもの学年によってガラッとカラーが違ったりもする。
リーダー格の人がいい人かそうではないかで、かなり子どもの様子も変わる。
人数がそれなりにいると平均化するんだろうけれど、万年一クラスの
田舎の学校では、構成員のカラーは重要だ。
これから田舎に子どもを連れて引っ越したいという方には
学年にクラスが複数あって、転校生が定期的にやってくるような
田舎でも市街地を選ぶように提案したい。
田舎の中の田舎で、万年一クラスの学校で、ボスママが人として
どうかという人の場合、確実に地獄を見ることになる。
人はどんな状況でも正しく生きられる人もいるだろうが
よそ者をいじめても誰も自分を責めないという状況下にあって
そうしない人であることを望むのは難しいと感じた。
いい人は奇跡で、そうじゃない人は普通の人なんだろう。
直接私に嫌がらせまではしなかったが、私に対しての態度が
良くないなあと感じていた人たちも、今は私と
前々から仲良くしてましたよという雰囲気を夫の前で
出してくるので、せこい人たちだなあと残念な気持ちでいる。
私を嫌ってるのであればそれはそれでいいし、貫いてほしかったなあ。
役員だって、あの人だったらできるからと任せてくれるのなら
それはそれで納得して喜んで引き受けるけれど、
困らせてやろうとかよこしまな気持ちで裏で申し合わせされるのは
いじめとかしてはいけませんよとかいう立場の親として
どうなんだろうねえ。
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