第133話 夢姫、誓う。(19)
「今日は付き合ってくれて感謝していますわ。ご苦労様でした」
「いえ。姉上の付き添いができるなど光栄なことです。しかし今日は本当に色々なことがありましたね」
「ええ。本当に」
「王弟殿下にもお会いできるなど露とも思っておりませんでした」
「それはそうですわね。王弟殿下が王都へやってこられたのも十数年ぶりなのではないかしら」
「おそらくそうかと」
夢姫は「そういえば」と思い出してハンカチに忍ばせていたカードを取り出しました。それをテーブルへと広げます。第二王子もそれを覗き込みました。
「このカードを見て面倒姫様は不思議な顔をされたのよね……」
「不思議な顔、ですか?」
「ええ。なにか嫌な感情をお持ちになられたようだったのです。しかしながら、わたくし共でさえ王弟殿下とは初対面というのに、面倒姫様がご存知とは思えなくて」
「そうですね。王弟殿下は島へと居を移されてからは、他国にも行かれておりません。ご遊学経験はあられるそうですが、それも姉上や面倒姫様がお生まれになる前のことだそうです」
「ですわよね」
姉弟は同じ顔をして、うーんと難しい顔をしました。
「姉上は王弟殿下のことをどうお思いになりましたか?」
「どうって……。珍しい方だと思いましたわ。浮世離れされているというか、なんと表現したら良いのか分からないのですけれど」
「そうですか」
「どうして?」
「いえ」
第二王子は別のことで気を揉んでいました。王弟殿下と夢姫が並んで立っている姿を目にしたとき、こんなにも見目麗しいお似合いの二人が居るのかと思ってしまったからです。伯父である王弟殿下のところへ嫁ぐことも無いことではありません。
「差し出がましいですが、王弟殿下にはお気をつけください」
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