第11話 美織のレッスン 2 プリエから

【足のポジション】

 足のポジションは主に一番、二番、四番、五番を使う。このとき足はアンディオールを意識する、お尻を締めるように意識し、足を付け根から外向き回すように開く。足先だけ開こうとすると膝や足首を痛めることになる。

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※アンディオール

外側に回転させるように足を付け根から開く体の使い方。バレエでは動きの中で、どの瞬間にも足先が内側に入ってはいけない。

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【一番ポジション】両足を百八十度開き足を重ねずかかとかかとを付ける。


【二番ポジション】一番ポジションから両足のかかとが肩幅ぐらいまで真横に開く。


【五番ポジション】左手でバーを持つ場合、右足を前、左足を後ろに重ねる。一番ポジションから足を重ねる感じ。右足のかかとが左足のつま先の前。右足のつま先が左足のかかとの前にくる。その際、重心は両足すべてに均等にかかっていることを感じる。


【四番ポジション】五番から前の足を一足分、一足分とはかかとからつま先であるが、四番の広さはもう少し狭くてもよいのではとも思われる。


 どのポジションも足裏に重心が均等にかかっていること、その軸が床に対して垂直であることを感じることが大切だ。


〇プリエ


 まず、まっすぐ立って頭から尾てい骨まで「まっすぐ」を感じ、その軸の重心が両足の均等にかかることを感じる。

 プリエはかかとが上がらないところまでひざを曲げるドゥミ・プリエを数回した後、グラン・プリエ、グラン・プリエは二番ポジション以外はかかとが上がってもよく、一番深いところまでひざを開く、二番ポジションはかかとが上がらないところで一番深いところまで腰を下げる。

 足のポジション一番、二番、四番、五番の順に左右それぞれプリエする。アンディオール、外に回すように開くことを意識して筋力を使いながら、プリエの動きをすることでバレエに必要な筋力と体幹を身に付けることができる。

 足裏で床を感じ重心がまっすぐであることを体幹としてつかむ。ジャンプをする瞬間、床を蹴る足が床に対して垂直に軸を蹴り上げることで高いジャンプを生む。

 重心は軸の中にある。床に垂直ではない軸を蹴り上げると、その力は「高さ」ではなく「回転力」になる。

 実際、回転はしないが、高さが出ずに低く前方に飛ぶジャンプになる。

 かかとから頭のてっぺんまでまっすぐな軸は、その中に重心があり垂直に床を蹴り上げるとすべての力が真上への跳躍力になる。そこに助走が入ることで大きなジャンプになる。


◇◇◇◇◇◇


 美織みおりは小学生から中学生、高校生、園香や奈々、大人クラスのレッスン生も含め全員を腕の位置、顔の向きまで細かく直していく。

 園香そのかはレッスンが始まりいつもの場所についたが、今日は彼女の前に瑞希みずきがいた。彼女の後姿に目がいく。

 軽く流すようにレッスンを受けているように見えるが、足のポジションを一番から二番に変えるときも美しい。

 二番から四番に変えるときも、一瞬スッと綺麗に五番を通ってかかとを押し出すように膝裏ひざうらを伸ばし前に出す。足の内側のくるぶしを押し出すように美しく四番をポジションを取る。完璧なアンディオール。

 動き、所作の一つ一つが美しく、その所作の軌跡が見ている人の目に残る……その残像が見ている人の目に美しい印象を残していく。

 先程レッスン前に北村や秋山と話していた、少しいい加減な感じの彼女の印象は全くなく、一つ一つの動きが、まるで舞台でトップレベルのプリマが歩いているように美しい。

 前でプリエをしている瑞希に見惚みとれる園香。気が付くとスッと隣に立った美織と目が合った。彼女は微笑んで通り過ぎて行った。

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