第72話 バッグその3

(20年プラスα後)

あたくし、バッグ。

ヴィトンのバッグざます。

今のあたくしの居場所は押し入れの中。

たまに奥様が、あたくしの手入れをしてくれるざますが、

しっかりおもちゃはあたくしの中に。

ああ・・・。あたくしって・・・。

ん?

「おじゃましまーす。」

「ただいまー。」

「こんにちはーー!」

「お?義息子と娘と、かわいい孫娘。いらっしゃい。」

「お父さん。なんなんですか。それ(笑)」

「ママのおもちゃー!」

「あ。いらっしゃい。ママのおもちゃ?」

「あ。おかあさん。お邪魔してます。」

「あ。おかあさん。ただいま。私のままごと道具、残ってる?娘と話しになって、それが見たいって。」

「ちゃんと残ってるわよ。ヴィトンのバッグもね。」

「うわ。ほんとにヴィトンのバッグに入れてたんだ。私。ブルジョアだ。」

「何言ってんのよ。ちょっと待っててね。」

ん?奥様?あたくしを、外に?げ?あの小娘あんなに大きく。って小娘がいる。

ちょっと。あの時の小娘。おおきくなったざますわね。

奥様、あたくしを開けて、

「ほら、これよ。いっぱいあるでしょ。おかあさん、これで遊んでたんだよ。」

「あ。このバッグいいなあ。私もらっていっていいかな?」

「だめー。びとん私のー。ママだめー。」

「新しいミニーちゃんのリュック買ってあげるから、それ、ママに頂戴?」

「んーーー。しょうがないなあ。ママにあげるー。」

結局あたくしの指南を受けたいざますわね。娘。しかたないざますわ。

あたくしが・・・

「びとん怪人ーーー」

「ちょっと。かぶっちゃだめ。」

ん・・・親子ざますわね。

ほら、奥様もわらいころげているざます。

ちょっと。小娘止めなさい。あなたの娘だけに、

ハッピーセットのチキンナゲット持って、こっち見てるざますわ。


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