第56話 ピンポン
おいら、ピンポン
卓球じゃないよ。玄関にあるピンポン。
住宅用インターホン。ドアホン。コッチノほうがわかりやすい?
おいらにはボタンがついてて、それを押すと台所にあるおいらの相棒が、
ピンポーン。となるんだ。その相棒には受話器がついてて、
おいらのボタンを押した相手と話ができるってかんじ。
おいらは会話出来るだけだけど、最近のは画面までついてるからね。
それに相棒が台所だけでなくいたるところについてて、
いろんなところと話しできたりするのもあるよ。
まあ、元々は防犯のため。なんだけどね。
色んな人がおいらを押していくよ。
電気やガス、水道の料金の取り立てとか。、
郵便の人や、宅急便の人とか。
お隣の奥さんや、近所の人たち。
あ、たまにセールスの人たちもいるね。
雨の日も風の日も。
まあ、早朝や夜遅くはいないけどね。
けどやな奴らもいるんだ。
あ。あれあれ。あいつら。
わけわかんないんだけど、おいらを押して、
うぎゃー。って叫びながら走っていく。
で、隠れて向こうのほうで見てる。
なんなんだろうね。
今、そういうのがスタンダード?
でもうちのお母さん。なんでだろ?
そういうのには出てこない。
そういやあ、お母さんもう一つ出てこないのがある。
夜遅くに酔っぱらってる顔してるお父さんが、ピンポン押しても知らん顔。
お母さん。おいらよりドアホンしてるかも。
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