174.試験の行方
今の状況を不利と感じたのか健志たちが強硬手段に出た。
全員が身体強化を使い、健志がずっと我慢していた初撃を繰り出す。クリティカルが決まり後ろに吹き飛ぶ三尾の狐に、射線を確保していた葵がプチファイアーバレットで追撃。
すかさず、朱珠が木霊で三尾の狐を蔦で締め上げ動きを封じ、陸と昌輝が攻撃に入る。このまま決めれるか? と思ったのがやはりフラグだった。三尾の狐を中心に吹雪が吹き荒れ、木霊の蔦が枯れたと思うと三尾の狐の体が二倍くらいに膨れ上がり枯れた蔦を引きちぎる。
あぁー、これってヤバいやつだな。
しかし! ここで奇跡が起きた!
三尾の狐のTP切れだ。ここで、まさかのTP切れ。
体が二倍になった状態で動かなくなる。袋叩きにしてくださいと言わんばかりの状況。タコ殴りが始まる。二尾の狐を倒した
三尾の狐の体がぶるっと震え、動き出すかと思われたときに黒い霧に変わった。
「運も実力のうちか……どう思う?」
「そうだな。言いたいことはいろいろあるが、試験は合格でいいのではないかな」
「それでは、来週から二軍だけで七等呪位の依頼を受けさせるのかしら?」
「うーん。月山さん、俺はそこまでこいつらを信用していない。正直、こいつらだけだと不安だ。少しの間、水島顧問に付いて行ってもらうほうがいいと思うな。何かあった時の判断がこの連中ではまだできないと思う。これは場数を踏むしかない」
意気揚々と引き上げて来た二軍連中が、俺の言葉を聞いて憤慨しブーイングの嵐。今回は運が良かっただけと気づいてないのか? こいつら。
「私もそう思う。サポート役が付いて、ちゃんと引継ぎができるまでは面倒見よう」
信用していた水島顧問にまでこういわれた二軍連中は
水島顧問が俺の依頼を受けるのも、この二軍に対して興味があるのだ。この二軍がホルダーになった時の適合率は、水島顧問がホルダーになった時の適合率とだいたい同じ。自分がこのレベルの時を思い出しているのだろう、明らかに二軍のほうが戦えていると。
だからこそ、もう少し一緒にいて観察し、その違いを知りたいと思ってもおかしくはない。
その違いは間違いなくハイランクキラー。ステ値にそうそう変わりはないが、ハイランクキラーの称号を多く得ることで比率が上がる、BP・TP回復速度、取得経験値、アイテムドロップ率のアップだ。
取得経験値アップは言うまでもないが、戦闘している間のBP・TP回復速度アップは戦闘継続時間が伸びる。それすなわち生存率が上がり、戦術の幅も広がるということ。
そして、アイテムドロップ率アップが一番デカい。八等呪位以下のドロップアイテムと比べると七等呪位のドロップアイテムは格段に質がいい。そのドロップアイテムの中の武器防具で装備を固めれば、レベル五以上分はBPを上乗せでき、攻撃力も違ってくる。武器防具に付いた属性や技も使いやすいものが多い。
それと、七等呪位を倒すと特殊アイテムも手に入る。これが当ると結構いいアイテムが手に入る。スキルのスクロール、レア
最後に、これは水島顧問に言っていないが、この二軍も既に適合率が10%以上上昇している。そう遠くないうちに、全員が150%を超えるだろう。そうなれば、一気にステ値が上がりさらに強くなっていく。
さあ、次は瑞葵と麗華、勇樹の番だ。
瑞葵がバトルフィールドを展開する。
土偶魔人 七等呪位 女神や女性、宇宙人を模した土人形といわれているが、その真相は……。
って、おい! その真相は……ってなんだよ! 最後まで言えよ! それに土偶魔人ってなってるぞ! 魔人なの? 魔人なんですか!?
土偶が宙に浮いている。威圧感より違和感のほうが勝っているな。月山さんも微妙な表情。
「ああいうのって、多いのかしら?」
「
水島顧問、意外と投げやりだな。確かに日本の妖怪やら、大陸の妖怪やら、西洋の妖精、
「いつもどおりでいいのかな?」
「弱点がわからない以上、正攻法で攻めるのが無難ですわ。勇樹もいることですし」
「頑張ります!」
「勇樹の打ち上げやるからな、さっさと終わらせてこい。で、何が食いたい?」
「カニがいいです!」
だそうです、赤星さん。カメラを設置し終わった赤星さんがスマホで検索を始める。
勇樹には俺の不死の指輪と
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