162.お土産

 こういうものは汚れたり破損させると価値がなくなると聞く。なので鑑定用の白手袋をはめて開封する。


 封を切らない状態で鑑定すると、未開封トレーディングカード五枚入りとなっている。封を切って中を確認。五枚のうち一枚が妙にカラフルな電気ネズミの絵が描かれている。鑑定するとその価値なんと七十五万!?


 まじかぁ……。凄ぇな、電気ネズミ。


 買っておいた観賞用のケースにすぐ入れ、スマホでそういうカードを扱っている店を探し売りに行く。事前にスマホで持っているカードの価値も確かめている。調べたところ八十万になっていた。


 お店に行って売却。が、最初若い店員が対応して4万を査定額として提示。納得がいかないのでスマホの画面を見せると、汚れているからなど難癖をつけ7万を提示。


 やってられない。今買ってきたばかりで白手袋までして、指紋すら付いていないのに汚れているわけねぇだろ! って言ってやったら黙りやがった。


 騒ぎを聞きつけたオーナーらしき人が出てきて、説明を求められたので事情を説明。若い店員の顔が青くなっている。どうせ、やましいことでも考えていたのだろう。


 店の中にいた大勢のお客さんたちの注目も浴びてしまったので、別の店に行こう。


 オーナーらしき人に引き留められたが無視して店を出る。


 次の店を探し行き、さっきの店のことを話したうえで査定してもらう。引きつった表情をしながら査定した店員は七十五万を提示。オークションに出してその額になっても手数料等など引かれると、実際に手にするのは提示した額より下がると説明されたので了承。


 店員さんと握手を交わす。いい取引ができた。残りの四枚はいらないので一緒に渡したら苦笑いをしていた。


 それにしても宝の方位磁石、使えるな。感知範囲が狭いのが玉にきずだが、これは良い物だ!


 最初はあれだったが、結果オーライ。今日もいい一日だった。



 月曜は昼前からクレシェンテに向かう。


わたくしたちがいなくて寂しかったのではなくて?」


 ねぇーから!


「恢斗はどうしていたんだい? まさか、ずっと狩りはしていないよな?」


「していたぞ。ついでに新しいホルダーも勧誘しておいた。午後に来るからその時に紹介する」


「恢斗らしいいえば、恢斗らしいのか……?」


「お姉さま、恢斗が異常なだけですわ」


 酷い言われようだな……。


 午前中はみなさんのお土産披露の場となった。瑞葵と麗華を含め四人が海外組、残りの四人は帰省組。


 瑞葵からはブランド物の腕時計となぜか不思議な人形。麗華からは宝石の付いたネクタイピンとカフスボタンのセットとドイツワインをもらった。どちらも鑑定するのが怖い……。瑞葵の不思議な人形は呪いの人形じゃないよな?


「この人形は翔子からですわ」


 そいうこと。だが、翔子のセンスって……。


 ほかのメンバーからはお菓子、そしてお酒類を頂いた。旅行先や地元のお酒だ。お土産が消費できるものがありがたい。不思議な人形どうすればいいんだ……。


 二軍連中が来る前にこの一週間のことを説明しておく必要がある。時間もないので昼は軽く出前を頼み、食べながら話をすることになった


 出前が来るまでに、瑞葵と麗華にはそのきっかけになったことも説明しておいた。


「恢斗は……」


 その続きはなんだ? なぜ、呆れた目をして俺を見る。


「大陸の工作員か。うちの研究所もよくハッキングなどのサイバー攻撃を受けると聞いている。そういう連中なのだろうな」


「それで、その方たちは大丈夫なのでしょうね? 恢斗」


「ホルダー管理対策室で裏は取ったはず、それで白となり釈放されている。この一週間一緒に狩りをしたが……まあ、問題はない」


「その間はなんだい? 何か問題でも?」


 基本、いい奴らではある。問題という問題ではない……と思う?


「まあ、なんというか、瑞葵や麗華とは住んでいる世界が違うとだけ言っておこう。いい奴らだぞ?」


 月山さんたちはある程度知っているので苦笑いだな。


 出前が届き食べながらこの一週間のこと話す。ちなみにカツ丼とかけ蕎麦な。誰も軽く食べるとは言っていない。出前といったらこれが定番。


「七等呪位を十体も倒したのですか!?」


 星野さんが驚いている。それだけじゃないぞ? 七等呪位以下も結構な数を狩っている。


「討伐報告を急がないといけませんね……」


 よろしくお願いします。大量だけど、ごめんね?


 あまり睨まないでほしいのですけど? お姉さまたち……。


「恢斗のレベルはいくつですの?」


「二十四だな。当分一緒のPTは組めないので、全員のレベル上げのサポートに回る。時間があって近場に七等呪位がいれば俺一人で狩る」


「ということは実質六時間で三体の七等呪位を狩るということか」


「そうなるな」


 一体狩るのに一時間もかからない。移動時間さえなんとかなればやれなくもない。問題は移動手段だな。車が二台必要になる。


「一PTに一人のサポートが必要でしょう。そうなると夜の部にもう一人必要ですね」


「なんとかなりますか?」


 月山さんが少し考える。


「人が増えれば仕事が増えるのは当たりまえ。赤星はそのまま風速くんたちに付けるとして、これから来る子たちの専属を探さないと駄目ね。一応、その子たちと面談してから改めて考えましょう」


 できれば男性がいいな。自衛隊出身か警察出身者とか。


 あいつら人を見そうだからな。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る