42.柿崎再接触
「ねえねえ、このカードって使えるのよね?」
「使えるんじゃないか? でもここで使うなよ」
「わかってるわよ」
瑞葵の持つカードには尻尾が光った猫の絵が描かれている。(1)となっているので使えると思う。ただしこいつはみた感じ十等呪位くらいの
装備はどうしようか? 炎の胸当ては耐性が付くのとBPが上がるのはいいが、弱点が付くのはあまりいただけない。なので炎の胸当てと炎のネックレスをトレード。炎のネックレスはBPは低いが俺の炎耐性(小)スキルと同じでデメリットなし。
火炎の杖は俺が使ってみよう。将来的には瑞葵に渡してもいいが、今はレベルが低いのでこれを使うにはTPが心許ない。
「ご馳走様」
また会計を無視して出ていきやがった。いつかカウンターのある寿司屋で奢らせてやる!
「ねえねえ、この子可愛いい~!」
ファミレスから出ると瑞葵が青い猫を抱っこしている。
こいつ、やりやがったな! ほんと、お嬢様は人の話聞かねぇのな!
っていうか、普通に召喚できるのか!? そっちのほうが驚きだよ!
「
「大丈夫よ。この子は私が使役しているのだから、誰にも迷惑かけさせないないわよ」
そう言って迎えに来た車に乗って帰っていった。今回もまったく俺を送る気はないようだ。これだからお嬢様は……。
いいさ、俺は孤独なロンリーウルフ。夜の街がよく似合う。……帰ろう。
翌日、講内を取り巻きを引き連れ歩く瑞葵を見たが、青い猫を抱いていた……。隠す気はまったくゼロのようだ。
瑞葵は気づいているのだろうか? 進化すると姿形が変わるということに。俺に文句言うなよ。
講義が終わり昨日の喫茶店に向かう途中、スマホが鳴る。
柿崎からだ。
『あー、俺だ』
「オレオレ詐欺は間に合っています。じゃあ」
『ま、待てよ! 柿崎だ! 切るんじゃねぇぞ!』
知ってるよ。面倒くせぇなぁ。
「で、用件は?」
『今からどこかで会えないか? 話がある』
「今から仲間と待ち合わせなんだよ」
『ホルダーか?』
「だとしたら?」
『ちょうどいい。そいつとも話をしたい』
こいつと今の瑞葵を会わせたくないんだよなぁ。もっと瑞葵がレベルが上がってればいくらでも誤魔化せるんだが。どうやって低レベルホルダーを見つけたのかって追及してきそうなんだよな。まあ、答える気はないけど。
「はぁ~。仕方ない。〇×駅前のファミレスでどうだ?」
『了解だ。そこなら二十分もあれば着く』
瑞葵に集合場所の変更をメールで知らせる。
ファミレスでドリンクバーを頼み瑞葵と柿崎が来るのを待つ。
「どうして場所を変更したわけ? 今日はホルダーとの交流を持つ約束でしょう?」
そんな約束をした覚えはないんだが? まあ、ホルダーとの交流にはなるのか?
「前に話した
「ランクバトルで恢斗に負けたホルダーね」
噂をすればなんとやら。二十代後半から三十前半くらいのガテン系の強面で、ライダースーツを着た柿崎がやって来た。
「待たせ……って誰だよ! こちらのお美しいお嬢さんは!」
「ほかの客の迷惑だ。黙って座れ」
柿崎は俺に従い黙って座ったが、ずっと瑞葵を見ている。見られている瑞葵はそんな柿崎を無視してスマホを見てニヤニヤ。何を見ているのか覗こうとすると、ドヤ顔で逆にスマホの画像を見せてくる。
瑞葵の
「可愛いでしょう~。どらちゃんって名付けたわ」
おいおい、著作権的にどうなんだ? ん? あれは青いタヌキだからセーフなのか?
「それで、俺たちに話ってなんだ? 手短に頼むぞ。この後もやることが詰まっているんだからな」
俺の言葉でやっと瑞葵から俺に目線を移す柿崎。でも、チラチラと瑞葵を見る。ストーカーか!
「単刀直入に言うと、
「依頼? 手を貸して欲しいってことか?」
「そういうことだ」
来たね。これを待っていた。まだ俺たちの組織はできていないが、名を売るチャンスだ。
「お前最近、土屋陰陽会の田村ってのボコったろ?」
「田村? ああ、そんな奴いたな」
「田村はな、土屋陰陽会の次期当主候補として育てられているうちの一人なんだよ」
土屋陰陽会というのは陰陽師の大元土御門の傍流に当たるらしく、政界にも顔を効かせる組織らしい。当主は血族から選ばれるのではなく、実力主義で次代の当主を決めているそうだ。
「そこのエリートをボコった挙句、この近辺の七等呪位を狩りまくっている奴って、この業界で噂になってるんだよ。お前が」
なによ。自分たちのテリトリーを荒らしたってことで怒ってるわけ?
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