第9話 集団戦

 巨大なゴブリンの号令と共に、シャドウゴブリンが一気に俺達に襲いかかる。



「頼っち!」


「分かってる。こいつを喰らいなぁ!」



 要石を後ろに下がらせてから前方に向けてシルバーボックスを地面に叩きつける!



<シルバーボックスオープン!>


<トラップ発動!>

 強力な睡眠薬が前方に充満した!

 シャドウゴブリンAはその場でぐうぐう眠っている。

 シャドウゴブリンBはその場でぐうぐう眠っている。

 シャドウゴブリンCはその場でぐうぐう眠っている。

 シャドウゴブリンDはその場でぐうぐう眠っている。

 シャドウゴブリンEはその場でぐうぐう眠っている。

 シャドウゴブリンFはその場でぐうぐう眠っている。

 シャドウゴブリンGはその場でぐうぐう眠っている。

 シャドウゴブリンHはその場でぐうぐう眠っている。

 シャドウゴブリンIはその場でぐうぐう眠っている。

 シャドウゴブリンJはその場でぐうぐう眠っている。


<+1発動!>

 カマイタチがシャドウゴブリンA~Jを切り刻む!


<バックアタック、クリティカル!>

 シャドウゴブリンA~Jに350のダメージ


<+3発動!>

 シャドウゴブリンA~Jに350ダメージ

 シャドウゴブリンA~Jに350ダメージ

 シャドウゴブリンA~Jに350ダメージ

 オーバーキル!


<シャドウゴブリンA〜Jを討伐した>


<オーバーキルボーナス!>

 銀の鍵を手に入れた

 シルバーボックスを手に入れた


<+2発動!>

 銀の鍵を手に入れた

 銀の鍵を手に入れた

 シルバーボックスを手に入れた

 シルバーボックスを手に入れた

 

 

 銀の鍵きたー! と喜んでる場合じゃない。

 あっという間に殲滅した第一陣を見て、こっちの脅威度を上げたのだろう、近接攻撃は分が悪いと見て遠距離攻撃に切り替えてくる。

 チィッ、あのデカブツ、非常に賢い。



「要石、矢が飛んでくるぞー!」


「遠距離武器とかウケるww でもあたしの防御を抜けるか試してみようぜ?」



 どうしてこいつはこう、命知らずなのか。やたら自信満々の要石。

 確かにシャドウゴブリンの攻撃で要石の防御が抜けないことは確定済み。問題があるとすればそれプラス近接部隊が同時展開されることだろう。

 遠距離手段が弓矢だけであるとも限らない。

 魔法が飛んできたら俺たちの防御じゃ受け切れないからな。



「フハハハハ、効かぬわー!」



 矢を受け切りながら悪役でもなかなか言わないセリフを叫ぶ要石。

 すっかり万能感に浸ってるな。

 俺はシルバーボックスとアイアンボックスを盾代わりに敷いてその影に隠れて新しく手にして銀の鍵をオープンする。

 何かの役に立つアイテムが手に入れば良いが……


 一つ目は。丸い盾。何かやたら虹色に光ってる。

 装備適正に【知識】を要求されるあたり魔法職専用装備っぽい。魔攻や魔法を防ぐ効果でもあるのか?

 【+1】で再抽選。今度は弓矢セットが現れた。漆黒に輝く非常に中二心をくすぐる装いだ。こういうの嫌いじゃないぞ?

 【+2】で矢の補給セットが来た。なんなの? 俺に援護射撃でもしろっていうの?

 【+3】で高級非常食が三つ来た。こいつは僥倖、じゃなくて長期戦を予期してるのか? そんな気さえしてくる。


 俺は要石に虹色の盾を投げて渡した。



「要石、魔法攻撃が来たらそいつを使え!」


「それはいいけどこの盾やたら小さくね?」


「多分大丈夫だ」



 なんの確証もないが、俺が持ってても仕方ないので囮役の要石に全投げする。

 さーて、俺も攻撃に参加するとしますかね。

 漆黒の弓を構え、射掛ける。

 人生初の弓術、どうかうまくいきます様に!


 ええいママよ!


 

<飯狗頼忠の攻撃!>

 シャドウゴブリンアーチャーに550ダメージ!


<+2発動!>

 シャドウゴブリンアーチャーに550ダメージ!

 シャドウゴブリンアーチャーに550ダメージ!

 オーバーキル!

 シャドウゴブリンアーチャーを倒した。


<オーバーキルボーナス>

 シャドウゴブリンアーチャーは鉄の鍵をその場に落とした。



 なんて?

 大したダメージは期待してなかったのに、まさかの威力ですよ。ただ、いつもと違うのはアイテムが手元に届かなかったことだ。

 手元にないから、当然再抽選もされない。

 俺のスキルは割と近距離判定の所があるからな。


 その場に落としたと出た様に、遠距離攻撃の場合はアイテム取得がひたすらに面倒なパターンらしい。

 ゲームみたいにこっちに飛んでくるとかないものか。


 それよりもだよ、もしかして遂に俺の時代きた?

 いや、こいつの性能がずば抜けて高い可能性も否めない。

 詳細を覗き込む。



 <ラックアクセルボウ>

 所持者の【幸運】÷2を命中力に加算する。

 選ばれしものにのみ与えられた弓


 <ラックアクセルの矢>

 所持者の【幸運】÷2を威力に加算する

 所持者の【知識】÷2%で様々な特殊効果を付与する

 選ばれしものにのみ与えられた矢



 あ、はい。強いのは武器じゃなくて俺の【幸運】でしたわ。

 素のパラメータで1100だもんな。強いわけだよ。

 逆に普通の人には扱いづらくて仕方ない奴だろ。ゴミとして見向きされないやつかもしれないね。

 もしかしたらその手の装備が市場に売りに出されてるかもしれないな。


 ただ、今回俺が遠距離攻撃を持ってると向こうに知られたのもあり、向こうも手段を変えてくる。


 弓矢部隊は引き下げられて、今度は杖を持った部隊が前に出る。

 室内を魔法攻撃であろう、複数の赤い球がまるで津波の様に俺たちに襲いかかる。絶体絶命のピンチという奴だ。



「頼っち!」


「さっきの盾を掲げろぉおおお!」


「分かった!」



 要石が盾を掲げると、その盾の頭上に魔法が一つの丸い球に収束され、盾の中にすっぽりと入り込む。

 あれ、この盾意外とヤバくね?



「頼っち、エネルギー50%充填って出た!」


「100%になると何かできるのか?」


「わかんない!」



 だよなぁ。



「取り敢えず援護射撃は任せろ! 魔法がきたらまた頼むな?」


「オッケー、任せて!」



 要石に囮役を続行させ、俺は弓で魔法ゴブリン部隊を狙撃していく。だいたい1グループ10匹ぐらいなのだろうか?

 10匹キルしたと同時に、今まで命令しかしてなかったデカブツが立ち上がった。

 どうやら必要以上に戦力を削いでしまったらしい。

 まだ弓矢部隊は残してるというのに、もしかして俺たちは非常に厄介な状況に追い込まれたのかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る