第14話 送らせてあげるわ

結局、その日は夕方六時まで粘ったが、霊は現れなかった。

「明日こそは必ず、何か掴んでみせるわ」

「明日もやんのかよ~」

 明日くらいはゆっくりしたいのに。

 白鳥は、妙にやる気だった。

「どうせ、あなたは明日も暇なんでしょう?」

 確かに、予定は入ってなかった。

「まあ、そうだけど……。あのさ、おれ思うんだが、こんな明るくて、人が多い場所じゃ、霊も出て来づらいんじゃないかな」

 明るい所に出る霊なんて、聞いたこともない。

「それは、私も思ってたわ。……では、明日は場所を変えましょう」

「どこに?」

「場所は明日、教えるわ。時間は今日と同じで、青山東駅で待っていなさい」

「ああ、了解」

「じゃ、さようなら」

 白鳥は、サッサと背を向けて行ってしまった。

「あっ、ちょっと待って」

 おれは、慌てて白鳥を呼び止めた。

「……送ってく」

 白鳥が一瞬、かなり驚いた表情を見せた。

「必要ないわよ」

「夜道とか危ないし……」

 それに、白鳥は綺麗だから、不審者とかにも狙われそうだし。

「自分の身ぐらい自分で守れるわよ」

「でも、そういうのだって使い魔の仕事だろ?」

 この言葉により、白鳥は渋々、了承した。

「……仕方ないから、送らせてあげるわ」

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