#18 小説を書く時の疑問
「なあ聞いてくれるか?」
「どうした?」
「実は今度小説を書こうと思っているんだ」
「そ。今から始めるならいいんじゃないか? まあ、頑張れ」
「んで、いまちょっと聞きたい事あるんだけどいいか?」
「聞きたいこと?」少し面倒くさそうな顔をする。「俺が小説家に見えるなら眼科に行けよ」
「違う。そっちの書き方じゃない」
彼は首を横に振りながら言った。
「漢字で書くかひらがなで書くか。その見分け方を教えて欲しいんだ」
「どういうことだ?」
「こういう事だ。今の『コト』は『事』と書くのか『こと』と書くのか。『イマ』は『今』と『いま』どっちが正しいんだ?」
「……ああ」何か納得したような顔をして「そういう事。どっちでも良いんじゃねえのか?」
「どっちかはっきりしてほしい」
とても真剣な顔だ。
「もし本当はちゃんとしたルールがあるとして、もしそれが審査に影響するなら、ちゃんと書きたい」
「真面目だな」と、とてもどうでもいいように言った。
「それに」やや体を前のめりにして「この動作もセリフとセリフの間に書いて良いのか? ライトノベルではほとんど見られないが一般的な小説には多々見られるぞ。ルールがあるならはっきりさせたい」
「ま、セリフの後に地の文を書くパターンもあるよな」
二人は少しだけ考えてみる。
やがて、
「なあ、お前はライトノベルと一般的な文庫本どっちを書きたいんだ?」
「ん? そうだな……」
顎に手を当て考えてみる。
書きたいのはどっちなのか。
「ラノベの方、かな」
「なら、お前がよく見てるラノベみたく地の文とセリフは分けて書けばいい。漢字かひらがなで迷ったら、ひらがなでいいんじゃねえか?」
「いや、しかしだな」
「世に出てるプロの作家がそうしてんだ。なら間違いないだろ。それと、絶対に厳守した方がいいものがあってな」
「なんだ?」
まっすぐ相手の視線を見て言う。
「誰の視点で書いているのか、それをはっきりさせろ。視点がわからないんじゃ読みにくくて仕方ねえ」
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