二人きりの時間

 ベッドに腰を下ろしたおばさんの肩を揉み、丁寧に解していく。


「はぁ~、やっぱり、レンくんは上手いわね」

「ありがとうございます」

「実際のところ、どうなの? ウチの娘に変な事されてない?」


 心当たりが多すぎて、黙ってしまった。

 言わずとも、シズカおばさんは「やっぱり」と嘆息たんそくする。


「レンくんは、優しい子だものね。強く言えないんでしょう」

「あ、でも、勉強見てもらったりしてるので」

「庇わなくて結構よ。まったく。誰に似たのかしら」


 ボクはシズカおばさんの後頭部を見つめた。


「後で受付の人に言って、一緒の部屋にしてあげるわ」

「え?」

「しばらく、一緒に寝ましょう。そっちの方が、ウチの娘だってバカな真似はできないでしょう」


 波乱の予感がした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る