参謀の場合

 ボクとタコさんが参謀のもとを訪れると、参謀は技師長と相談していた。

 タコさんの顔を見るなり、技師長は『検査する』と言ってタコさんを手術台に寝かせる。


 身体のあちこちに電極を突き刺された姿は、新手の調理法のようにも見えた。


「タコさんはもう一度地球に行きたいって言うんだ」


 ボクが言うと、参謀は腕を組んだ。

 こんな顔をしているがなんだかなんだでボクらの味方をしてくれるのは参謀のいいところ。


「ならば、身体機能を強化しなくては」


 参謀が技師長に合図すれば、技師長は『任せろ』とパソコンのような機械のキーボードをカタカタと叩き始めた。

 とんとん拍子に話が進んでいくが、遅かれ早かれこっちからこの部屋に来なければ参謀のほうからこっちに呼び出しに来る心算こころづもりだったらしい。


 この星にもパソコンはある。

 スマートフォンはない。


 城の中は広いのでスマートフォン、ほしい。

 一度タコさんと探検していたらはぐれて落とし穴に落下した。


 なんで落とし穴があるのかと聞いたら他の星から攻め入られた時のためらしい。

 そういや城の周りにもお堀がある。


 こんな星を攻撃してくるような無鉄砲な宇宙野郎がいるのか。


「います」

「いるんだ」

「命知らずどもをちぎっては投げ、返り討ちにしてきたのがあなた様です」


 迎撃もしてるのね。

 大佐からはこっちから他の星を攻め入った時の話しか聞いていなかったから。


「彼は野蛮なので、常に闘争を求めています」


 仲間から野蛮って言われちゃうか。

 この改造手術が終わったらその大佐のところに行くのに、うまいこと説得できるか不安で仕方ないゾ。

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