大阪、下町! 異人狩りの夏。

作者 崔 梨遙

感情はどうしようもなく、心を置き去りに突っ走る。

  • ★★★ Excellent!!!

夏のはじめ、失恋してしまった主人公。友人たちに慰められても悲しみは癒えず、憤懣の矛先が向けられたのは…ええっ、なぜソッチへ? 理不尽で、社会通念上オカシナ流れであることはわかっていても、止められないほどの勢いで疾走する気持ち。けれどなんだろう、この…ひりひりする爽快感。痛くて、息が詰まって、頭はがんがんするし鼻血は出るし…。「事件」になってもおかしくない騒ぎでありながら、ほとばしり続けた感情が少しずつ足をゆるめ、「ああー疲れたー気持ちいいー」とわめいているような。なんとなくだけど、自分もその感覚を知っているからじゃないだろうか、と思う。理不尽なはずなのに、なんでこれが快感なんだろうと、感情と心がねじれてしまっている感覚を。そうして、…主人公の夏は終わる。
主人公と友人たちの会話がはずんで進行していく場面があるが、当レビュー筆者は、会話だけで進んでいく場面の活き活きとした描写について、この作者様の筆力は秀逸だと思っている。

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