148 団子状がいけない

 こんにちは。


 最近、歌で出来ることが増えた。


 音を伸ばす時に、ビブラートでは無く音符一度分を行ったり来たりする歌い方。そういう歌唱法に呼び名があるのかもしれないけど、私には分からない……

 それがずっと出来なかったのだけれど、先日、急にできる様になっていた。


 というものの、それがしたいと思ったことは今まで一度もなかった。

 私はビブラートも控えめで、ベンドも殆どしない歌い方が好きなので。そういうのがトゥーマッチに思えてしまうから。ここぞという所で使うのはかっこいいんだけど、全てに使っていたらビブラートは調子に乗っている人、ベンドは下手なのを隠している人に思えてしまって。

 それに一度分の音を行ったり来たりしながら声を伸ばす歌唱法は、私のキャラに合わないと思っていたのだ。


 でもまぁここ最近の私の喉事情で練習していて。

 喉に負担をかけない中音域ばかりを使った曲で、声を張り上げられる曲というと限られている。その数曲の中に、その歌唱法が入った曲が有ったのです。

 昔にライブでやったことも有る曲で、今まではずっと同じ音を伸ばして歌ってきた。それがスッキリしていて好きだったから。しかし、せっかく練習に歌っているのだから、やってみるか……と歌ってみたら、案外すんなり歌えて。


 その歌唱法が必要では無かった、と同時に、歌える気もしなかったというのが正しい表現なのだけれど。だから歌えたことにびっくりしてしまった。そして、歌えたことにもびっくりしたけれど、感じ方が変わっていた事に一番驚いた。

 今までは音が上下に行ったり来たりする間隔が、もっと早いように思っていたのに、いざ歌ってみようかと声に出してみると思っていたよりもずっとゆっくりだった。前は倍速くらいで思っていたのだ。でも、歌えるようになった今は、多分、倍速でも出来ると思う。

 

 出来ないと思っている事って、団子状になって本質や、何がどうなっているのかかが分からない状態の時のことなんだろう。

 音でもわかってしまえば、絡まった音がほどけて聞こえる。粒が一つ一つ、音の表情や時間的感覚も正しく聞こえ出す。“理解する”という事はそう言う事なんだろう。


 最近、寝る前に世界史の話をGPTとしているだけれど、私は島国の感覚しか無くて、陸続きで国境なんてずっと奪い合っている状態なのに、自分は何人かという認識が明確にある状態とかが理解できなくて、ぐちゃぐちゃになって世界史が苦手なのだ。

 それで「オスマン帝国って今のトルコで合ってますか?」とか「ギリシャ人とローマ人って明確に違うんですか?」とか「なんで国は違うのに中華に属しているという感覚はあるんですか?」と聞いていて。教科書に載っていなくて、ずっとモヤモヤしていた事を明確に答えてくれるから、だんだんと私の中の歴史がほどけて来た。ほどけると時間の流れもなんとなく頭に入って来る。やっぱり団子状態になっていて、次の理解が出来ない状況だったのだろう。


 こんな歳になっても、たとえ些細な事だったとしても、出来ないと決めつけていた事が出来るようになったことはとっても嬉しい。これからは、出来ないと自分で判断してしまう事が出て来たら、縺れた糸や団子を解く対策をしたらいいのかもしれない。


 

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