第26話

クラスメイト視点


昔、私はクラスに友達が居なかった。読書ばっかりで、誰かと話そうとすると緊張してしまう。

 

 私は教科書を忘れてしまった。

 よりによって、音読をする日だった。しかも、忘れたら怒ってくる先生だ。


 普通の人なら誰かに貸してと言えば解決する問題、だが自分には解決出来ない大問題だった。


 結局授業開始まで、誰にも借りることが出来なかった。気分が落ちていると、机に教科書が置いてあった。紙が挟まっている。


 これ使って、大丈夫俺は何回も教科書盗まれてるから。


 私は隣のゆうくんを見ると、ドヤ顔しているゆうくんがいた。

 

 そして、音読が終わると、次のページにもう一つ手紙が入ってた。


 読書の好きな人リスト


 クラスメイトの名前が書いてある。そして、本を普段どれくらい読んでいるかや、読んでいる本の種類があった。狙い目!本について語りたい女子と大きく書いてもあった。

 私はその手紙を受け取り、最後に

 

 ありがとう


 と書いた紙を挟んで、


 ゆうくんに教科書を返した。



 それから、私はたまに教科書を忘れてはゆうくんに借りていた。

 席替えをするまでは、



 私にも友達が出来て、段々と友達ネットワークは広がり、冬華ちゃんとも仲良くなれた。だけど、ゆうくんへのイタズラ、、、虐めの話も出て来た。最初はゆうくんの、脱いだ服のポケットにゴミを入れる、あまりにもしょうもないイタズラが流行っていて、私も空気的にやらざるをえなかった。


 それから、他にもイタズラは続き、同時に私もクラスでカーストが上がっていて、冬華とは良く話す友達になっていた。


 ゆうのストラップの無くした動画を見た時、私はゆうがいる前で、大爆笑をしていた。


 そして、ゆうに話しかけた


「 ねぇ、ゆうくん、冬に動画見せて貰ったんだけど、このキャラクター好きなんだね、可愛いじゃん」

 

 私はストラップのことを調べてあったので、その画像を見せる。


「わかるの?あの良さ!」

 

  思えば、これが初めてのゆうとの会話だった。


「えっ、とごめんやっぱり、少しわかんないかな」

 私は思いも寄らない、ゆうの言葉にビックリした。


 「ごめんね、ゆうくん」

思わず小さい声で、本音が出た。



本当にストラップが大切で好きなんだ。

 私の本のように。



 冬華達の所に戻ると、

「冬華、あいつキモかった。」


 私はとっくにクラスメイトに毒されていた。


ーーーーーーーーー


「冬華、どういうことなの?今更ゆうに謝ろうなんて。」


「私は今までゆうに酷いことをしてしまったことに気づいたの。だから謝らないといけないお姉ちゃんとして。」


 そんなの、今更じゃん。


 私はクラスメイトと一緒に謝った。


 「わかった」


冬華の返事にゆうは答えていた。


 

家に帰ると、私はゆうとこれから、仲良く出来ることが楽しみで仕方なかった。ゆうに貰った手紙達は今でも大切にとってある。


 

 本当は、ずっとゆうと仲良くなりたかった。

 ゆうのおかげなんだ。友達が出来たのも、学校が楽しいのはゆうのおかげなんだ。

 

 もしも、出来たら、ゆうくんは最近よく図書館に行ってると聞く。一緒に色んな本を読んで語って、もっといい関係に。




 そんなことには一切ならなかった。

 

 むしろ悪化している。

(後になって気がつくが、それはそうだと思った。あんな冬華にただ流されるような謝罪で許せる訳がない。)


 私はついに思い切ってゆうくんに話しかけたが、無視をされてしまった。その時気付いた、私は好きな人に酷いことをし過ぎた。

 

 

 

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る