第64話 欠陥奴隷は奮起する
意識を集中させた俺は、魔族とニアだけに注目する。
それ以外に思考を割く余裕はなかった。
まずは【魔導戦慄】で身体能力を大幅に強化し、そこに【肉体活性】も追加する。
大幅に加速しながら疾走して一気に距離を詰めていく。
その際に【朧影の暗殺者】と【闇影の纏い】を有効化させた。
これで俺の動きを悟られないようになった。
途中で魔族に見つかったら終わりだ。
反撃を受けて死ぬ予感がした。
俺は限られた時間で最善の行動を決定する。
そして、必要な物を確信した。
走りながら【器用】と【拘束糸】を使って、頑丈な糸を飛ばした。
それによってダンの死体を捕まえると、力任せに引き寄せる。
飛んできた死体からすれ違いざまに盾を奪いつつ、その身体に触れた。
>スキル【鉄壁】を取得
>スキル【耐性強化】を取得
>スキル【堅牢なる守護者】を取得
>スキル【不倒の英雄】を取得
>スキル【不屈】を取得
>スキル【比類なき守り手】を取得
>スキル【防御態勢】を取得
>スキル【挑発】を取得
>スキル【槍斧術】を取得
>スキル【魔力鎧皮】を取得
(さすがは英雄だ)
大量の強力なスキルを入手できた。
取得済みのスキルも強化された感覚があった。
今からやることには、ダンの能力が必須だった。
ある程度のスキルが得られれば上出来と思っていたが、これは想像以上の成果である。
俺はダンの死体に心の底から感謝する。
魔族は既に拳を振り上げていた。
ニアに向けて真っ直ぐに叩き付けようとしている。
俺は紙一重で両者の間に割り込むと【盾術】を発動させた。
加えて【防護の心得】と【受け流し】と【狂戦士の魂】を使用する。
狂おしいほどの殺気に襲われて、それが力へと転換されるのを感じた。
(自分の力を信じろ! 全力でやってやる!)
迫る拳に対し、俺はダンの盾に当てた。
力の流れを意識しながら角度を付けて、横へと懸命にずらす。
猛烈な力を受けて負けそうになるも、気合で踏ん張って一撃を逸らしていった。
魔族の拳はすぐそばの地面に突き刺さった。
衝撃で地面が陥没し、蜘蛛の巣のような亀裂が走る。
かなり危うい賭けとなったが、俺は受け流しに成功したのだった。
「てめぇ……何者だ」
魔族は拳を上げながら見下ろしてくる。
攻撃を邪魔されたことに対する苛立ちが表れていた。
恐怖が湧きそうになるも、俺は歯を食い縛って堪える。
そして魔族に向かって告げた。
「――ただの、英雄に憧れる者だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます