第49話 欠陥奴隷は戦いに備える
「あ、そうそう。ルイス君がいない間に新鮮な死体を仕入れたの。よかったらどうぞ」
「新鮮な、死体だって……?」
「ええ、散歩ついでに集めたのよ。新しいスキルが手に入ると思うわ」
サリアが廊下の端に置かれた箱を指差す。
血みどろのそれを覗き込むと、原形を失った残骸で満たされていた。
それを目撃した俺は若干の吐き気を催す。
口だけで呼吸しながらサリアに確認をした。
「集めたということは、殺したのか?」
「うーん、内緒」
サリアは嬉しそうに答える。
肯定も否定もしないが、調達方法はお察しだった。
(相変わらず物騒な魔女だ……)
俺はサリアの笑顔から目を逸らしつつ、血みどろの箱を再び確かめた。
濃厚な血の臭いが充満している。
分解された目玉や指らしき物が浮かんでいた。
(ここは大人しく従っておくか)
せっかくサリアが善意で集めてくれたのだ。
断るのも恐ろしいし、俺自身には得しかないのだから、嬉々として受け取っておくのが賢いだろう。
俺は袖をめくり上げて、箱の中に手を突っ込んだ。
>スキル【威嚇】を取得
>スキル【狩猟】を取得
>スキル【指揮】を取得
>スキル【大食い】を取得
>スキル【底力】を取得
>スキル【雷魔術適性】を取得
手に入ったのは割と使えそうなスキルだった。
複合の材料にもしやすそうだ。
片腕を血のスープで汚した俺は、とりあえずサリアに礼を言う。
その後、就寝には早すぎる時間帯なので一人で買い物へ出た。
腹を満たすついでに、新規スキルを増やしていくのが目的である。
まずが露店を巡って食べ物を購入していく。
>スキル【岩石皮膚】を取得
>スキル【炎熱耐性】を取得
焼きたての肉を齧っていると、強そうなスキルが手に入った。
前者の【岩石皮膚】はその名の通り皮膚を岩のような質感になるものだ。
動きは若干遅くなりそうだが、防御力はかなり上がるだろう。
素手による打撃にも使える。
後者の【炎熱耐性】はシンプルに良い。
他の耐性系スキルと同様に、常に有効化させておくべきだ。
>スキル【骨刃】を取得
コリコリとした食感が癖になる炒め物を食べているうちに、また面白そうなスキルが取得できた。
自分の骨を急成長させて刃物のような形状にして、体外に露出させる能力らしい。
手持ちの武器が無い時、咄嗟に発動すると便利だろう。
ただ、骨が皮膚と筋肉を突き破る瞬間が痛いので、正直あまり使いたくなかった。
>スキル【捕食】を取得
>スキル【飢餓耐性】を取得
>スキル【肉体活性】を取得
>スキル【魔力結晶】を取得
>スキル【紅甲殻】を取得
>スキル【闇衣】を取得
調合用の材料を買い漁っていると、雑多なスキルが増えた。
魔物の素材ばかりだったせいか、変わったものが多い。
是非とも検証がしたいが、とりあえず隠れ家に戻ろうと思う。
三人の冒険者から奪った金も使い切ってしまった。
調合用の材料が残らず高価だったのだ。
俺はもう使わないので、サリアの土産にすればいいだろう。
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