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 小さな携帯用のランタンはジャックの周りをオレンジに光らせた。


 夕陽にも似たその色はとても儚く、たそがれ雑貨店は洞窟のようにしんとした雰囲気に包まれている。


 探検家のようにバランじいの後に続いて、研究所ラボの引き出しを探る。


「バランじい、この紙束でいいのかい?」


「そうそれじゃ。こいつに入れてくれ。痛てっ」


 たそがれ雑貨店の奥の、バランじいの研究所ラボは、ジャックが片付けても片付けても、いつのまにかモノで溢れてしまう。


 バランじいは何かにつまずいたようだった。


「大丈夫?」


 バランじいが投げて寄越した麻袋を受取り、ジャックは紙束を麻袋に詰めていく。


「ぐぬぬ……小指をぶつけてしまったわい……ジャック、これも頼む」


 ジャックは何かの破片をキャッチした。

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