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「太陽が、上がらないね……」
窓を開けると、いつまでも暗い闇の中に、家々のランタンの灯りがほんのり灯っていた。
夜の闇とは違う、夜明けのような空気の不思議な闇。
ほんのり朝の香りがする、大晦日のような不思議な静けさの中、ジャックはエプロンの紐を結んで窓の外を静かに見つめていた。
「夜みたいだけど、みんな起きてる。少し、綺麗だね」
それぞれの家から漏れ出た優しい光は、そこで暮らす人々の温かさを表すように、それぞれの色で灯っている。
「そうじゃな……しかし」
「バランじい?」
「ジャック、食事が終わったら城に行こう」
「え、店は?」
「今日は休みにする。それからジャック、このランタンにだけ灯りをつけて、店の灯りをすべて消してくれ」
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