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「魔法みたいだね」


 そう言ったジャックの言葉が魔法みたいに光の景色に溶けていく。


 粉雪のような輝きが風に舞って、夜の全てを包んでいるようだった。


「でしょう?はっ!」


 スピカが急に声を上げた。


「ジャックはシリウスの光の打ち上げを見たことなかったわね。まずはそっちを見たかったかしら……」


「いや、こっちのほうがいいよ。本当に魔法のようだもの」


 ガラスのような繊細な輝きを映す湖。


「良かった。私もね、こっちのほうが好きなの。ただ、向こうは音楽もあるんだけどね」


「歌えばいいよ」


「そうね!」


「ねぇスピカ、国の歌を教えてよ」


「もちろんよ」


 国と 心と 闇に閉ざされて

 ひとの心は強く

 灯る光 芽吹く緑は

 新しい シリウスの

 Fu-u……ru-fu……




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