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 夜の湖の内側から、光が湧き上がっていた。


 静かな湖面が、煌めきに包まれ続けている。



 柔らかい火の中に、結晶を投げ込んだような、キラキラとした煌めき。



 それは、火花のようでも、雪のようでもあった。



 遠くで、ドン、という心の奥底の太鼓を鳴らすような心地よい鼓動が聴こえる。



「これは……湖の魔法なの……?」



 ジャックは魔法の水鏡から目を離せないでいた。



「綺麗よね」



 スピカの声も、震えているような気がした。



 隣を見ると、目を潤ませたスピカのに、湖の煌めきが映っていた。



「ジャック、あなたの、キラキラしてるわ」


 目が、心が熱い。


「……うん」


 精一杯の気持ちでそう言って、湖を眺める。



 終わらない閃光に、心はきっと、透明になっていく。


 どこまでも純粋とうめいに……

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