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 しんとした夜の湖に、二つの子ども心が並んでいた。


 時々、水音が跳ねる。


 くすくすとした笑みが込み上げる。


 祭りの熱が残る胸の中に、夜の静けさが流れて入ってくる。



「ねぇジャック、林檎りんごの匂いがするわ」


「僕もそう思ってた」



 ジャックは口の周りをペロリと舐めた。体から、林檎りんごの香りが消えない。


「あまりに楽しかったから、毛繕いする暇がなかったのさ」


「いい匂いよ。シリウスの香りだわ」


「スピカのポケットはマシュマロの匂いがするよ。いつもね」


「あら!鼻が利くのね。持ってきたの。ジャックのもあるわ」


「お腹がいっぱいなのに?」


「毎日じゃなければ大丈夫なんでしょう?」


 スピカはリネンのキュロットから、つやつやの小さな袋を取り出した。


 開けると優しい、香り。

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