親子丼はいつも暖かく、優しい。

作者様は“街”を主題にすることを得意とされており、本作においてもその描写は丁寧かつ読みやすく、すぐさま物語の世界に引き込まれます。

あわただしい街の中で生きていると、たまに呼吸が苦しくなってしまう。街も人も止まることなく廻り続け、ゆっくりランチを食べる余裕もない。

そんな街角で、暖簾をかけているのが「秋田食堂」です。そのお店のメニューは1種類、親子丼しかありません。

ですが海苔やら紅しょうがやらいぶりがっこやら、チューニングは多彩です。だけど本丸の親子丼は優しい味わい。本当に美味しそうな描写です……!

お腹が空いた時はガツンと、カツ丼や牛丼が美味しいかもしれません。でも心が疲れた時は親子丼を食べたいですね。そう思うような優しいお話でした。

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