ピリオドの先にある空白を、仲間と一緒に追い求める青春感動作

導入部分から興味を惹かれました!
そして主人公たちがすぐさま陥る、物語の基幹となる状況がコミカルで楽しかったです。ただ、初読時に「もう少し作品背景のディテールが欲しい」と感じてしまう箇所がいくつか御座いました。
しかしそれらは全編を読んだあと再読すれば解消されてしまう些末な問題に過ぎませんでした。

出題に対する解答という大仕掛けの中で、キャラクターがどのように動き、自分自身の解を導き出すのか。最後までハラハラドキドキ読ませて頂きました。
これぞキャラクター小説! これぞライトノベル! そう口に出してしまうほど面白かったです。

文章表現に関しましては、作者様がYoutube動画にて仰っていた通り、熟達していてとても驚かされました。ただ、読み進める途中でついつい目を留めて意味の理解につまずいてしまった文がいくつかあり、その多くは、一文の中に『、』が二個以上入っている比較的長い文でした。『。』などで短く文章を区切って頂ければ万人がスムーズに読むことができるのではないか……と偉そうにアドバイスしてしまう私は無礼者ですね。本当に申し訳ございません。

『第16話 みんなの選択』あたりから、文章が一段と読みやすく、かつ物語が急角度で上向きに面白くなっていったように感じます。
そのまま最終話に向かって怒涛の勢いで束になる個々のドラマ群。伏線回収。本当に圧巻です。
主人公が発する軽口も、その場限りで消費されるような単純なものではなく、作者様の物語構成力の高さが窺えます。本当に良い作品を読ませてくれてありがとう、という気持ちでいっぱいです。