インターミッション

 ふた昔前。未知なる脅威の出現に人類は、手を取り合い立ち向かうだろうと謳われた。

 ひと昔前。未知なる脅威の出現に人類は、それでも仲違いを繰り返すだろうと嘆かれた。

 そして今。未知なる脅威の出現に人類は――――。


 機械生命体アイリス。


 外宇宙から送り込まれた脅威により、人類は瞬く間に文明を喪失した。

生き残った人類は辛うじて暫定政府を発足。


 しかし、統合の象徴たる暫定政府はあらゆる勢力の内部分裂激しく。

まさに人類は危機を前にして、ふた昔前に語られたとおりに団結し、ひと昔前に語られたとおり内部分裂を繰り返している。


 そんな最中。アイリスの猛攻により、地球はもはや死の星に近付きつつあった。

だが、宇宙に逃げる暇など人類には与えられない。異星への移住計画なぞ、暫定大統領が暗殺された時点で、既に水泡へと帰していた。


 ――リセットするしかない。誰もがそう思った。


 そして幸運にも、人類はリセットの手段を持ち得ていた。



 西暦二三二五年。


 アイリスの襲来から、もう十年も経っている。暫定政府の構成員は既に一万人弱。

つまり、世界総人口が一万人を切ったという事だ。


 地球外生命体による、この星を滅ぼす作業は大詰めを迎えていた。


 そんな時。


 リセットの手立てが確立した。


 リセットの担い手が選ばれた。


 リセットの日は刻々と近付いていった。


 そしてその日。選ばれた〝彼女〟はリセットを開始した。

 

 人類文明戦略計画。それは、世界を変えてしまった悪魔のスクリプト。


 とある一人の少年に全てを託した、とある御伽噺の、その始まりだった。

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