第七章 第11話 朝霧彰吾の決意
――グレゴリオ暦20XX年 四月十日 火曜日
――八乙女、療養八日目
◇
情報委員会から三日。
学校での生活は表向き、
目立つことと言えば、開拓班の面々の
その他の班は、日常業務をいつものようにこなしていた。
明日は
そもそも彼がいつ
そんな中、保健室で二人の男が再び
◇
「いい加減に教えていただけませんかね、
朝霧
「前にも言った通り、
「一体どういう訳で、あなたはそれほどに私の聞いたこととやらを知りたがるんですか? 鏡さん」
「それはこちらの事情でしてな」
「なるほど。それでは
「無理をせん方がいいですよ」
「無理、とは?」
「ここ数日、目に見えてお加減が悪いようじゃないですか。さっさと話して、私に
実際、朝霧がベッドに横たわったまま話しているのは、鏡への当てつけではない。
ここのところ、身体を起こすのも
長い間満足に食事を取ってこなかったツケが、ここに来て回ってきたのかも知れない。
「私の体調を心配してくださるんでしたら、
「放っておきますとも」
鏡は朝霧の顔を
「あなたから全て聞き出した
朝霧は小さく
「私が何か話を聞いたとして、それがあなたに関係あるとは限らないでしょう」
「それが限るんですよ」
「なぜ断言できるのですか?」
「ふむ」
すると珍しいことに、鏡は何か考えるような
とは言え、朝霧から助け舟を出す気はない。
しばらくの間、沈黙が場を支配する。
「――あったからですよ」
「はい?」
「あなたの話の中に、ある名前があったからですよ」
「……」
朝霧は目を
鏡は、
それに
しかし、内容についてはほとんど
もし知っていたとしたら、これほど落ち着いてはいられないはずだから。
――確かにあの時は、誰かに聞かれている危険性など考えていなかった。
呼び出された部屋に入る時に一応周囲を確かめはしたが、正直なところそんなことより不安で
それに……鏡の言う「ある名前」。
見当はつく。
彼が話を知りたがる理由も。
だが今、その名を口にすべきか、どうか。
ここが大きな
しかし、何かしらの成果を得たと感じるまで、今日のこの男は引き下がらないだろう。
いくつか人名は出てきたが、それは恐らく――
「
「!」
鏡の顔が
そして、納得したような表情に変わっていった。
「やっぱり、そうでしたな……」
「……」
「私の確かめたかった答えは、得られた」
「……」
「そして、私の進むべき道も」
鏡はくるりと朝霧に背中を向け、
「それでは、朝霧さん……」
そのまま振り返ることなく、保健室を出て行った。
鏡の姿を見て、朝霧は自分が選んでしまったことを
――そして、
「対策を……講じなければ……」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます