第六章 第16話 衝突2
(修羅場だな……)
俺の目の前で繰り広げられてる
――と言っても、誰も
どのみち、あそこまで悪くなった空気は
先に進むのは、それからだと。
「言いたいことがあるんなら、言えばいいじゃない!」
「別に……ねえよ」
「うそ! 何か気に食わないことがあるんでしょ!?」
「……」
「
最初は
朝陽を連れて戻って来るや
その呼びかけの一切を無視して、聖斗は黙々と作業をしていた。
具体的には画用紙に人間の全身図を
単純作業に思えるかも知れないが、これがなかなか大変なのだ。
何しろ、このエレディール共通文字ってやつが非常に
リィナに頼んで、
少しずつ慣れてきているとは言え、お
まあそんな感じで、エレファベット――
ちなみに芽衣の身長は椎奈先生より少しだけ小さいくらいだ。
百六十そこそこってところだろう。
一方、聖斗は黒瀬先生とどっこいどっこいだから、百五十センチ台
聖斗はそんな
少なくとも、力で対抗しようとする気はなさそうだった。
「いや……僕は……」
口ごもる朝陽を、芽衣はどやしつける。
「しっかりしなさいよ! あんたあんなに顔色悪くして悩んでたじゃない。あんなに一生懸命聖斗の
芽衣の
彼の
そこに、おずおずと朝陽が口を開いた。
「ねえ、聖斗。本当にごめん。でも僕、どうして聖斗がそこまで怒ってるのか、どうしても分からないんだ。関わるなって言うんなら、そうする。だけど理由は……教えて欲しいよ」
「あんた、あたしにもそう伝えろって言ったんだって? どうして? 何で? 理由を言いなさいよ!」
……やっぱり、山吹先生が報告してくれた出来事の
しかし、理由も言わずに関わるな――とは。
聖斗は黙ったままだ。
何となく迷ってる
別室で三人だけにした方がいいのかも知れない。
と思ってたら山吹先生が、
「八乙女さん、こんなみんなが見てる場所だと……」
「うん、今俺もちょうど
俺は立ち上がり、
「なあ、ここだと人目があって、言いたいことも言いにくいかも知れないから、場所を変えた方がよくないか?」
「……あたしは別に、どっちでもいいけど」
「……」
「……いや、俺は別にここで
あれ、意外だな。
「そうか、それとも俺たちが他に行こうか? お前たちも作業どころじゃないだろうし」
「あたしはどっちでもいい」
「……」
「いてくれて構いません。ちょうどいいし」
「はあ? ちょうどいいってどういう――」
「分かった分かった。それじゃあ俺たちは引き続き、作業しつつ聞いてることにするよ。事情は今一つよく分からないけど、お前たちはまず、言いたいことをちゃんと言い合った方がいい。よっぽどのことがなければ口は
そう言って腕をクロスさせると、俺は元の席に戻った。
「ちょっと八乙女先生、『ファイッ!』って何ですかもう」
「え、ダメ?」
「
女性二人にもうと言われた。
「でも、確かに第二ラウンド開始って感じですよね~」
と、
瑠奈が自分の
それに気付いた純一さんが、俺に微妙な視線を投げかけてくる。
お蔭で俺も何だか居心地がよくない。
――
こないだ、
でもこの子はどういうわけか、俺からの「ノック」に応じない。
ノックすると、首をふるふる振って拒否するのだ。
嫌がるものを
もしかして何らかの理由で嫌われでもしたか、と思ったけど、今の彼女の様子を見るとそういうわけでもないらしい。
で、三人の方はどうかと言うと――
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