第六章 第06話 衝突
「ほっといてって言ってるでしょ!」
ん? 何だ?
夕ご飯の後、俺――
靴を
こういう
(
お風呂が正式
後は、脱衣所や洗い場を軽く掃除しておくぐらいか。
日によってまちまちなところはあるけど、基本的には女性陣が全員入った後に、俺たち
何かトラブルでも……と思っていたら、こっちに向かって
「おっと」
「あ、ごめんせんせー」
この時間、外は真っ暗だ。
だから
芽衣は俺にぶつかりそうになって一言
「何だったんだ、あいつ……ん?」
五メートルほど先にランタンを持ったまま
近付いてみると、
何かの
彼女の肩は、
◇
「少しは落ち着いたか?」
「……はい」
両手でマグカップを
今は、俺たちの
どうもここは日本みたいに明確な四季はないらしい。
最初に魔法班で集まった正月の頃さえ、寒さを感じることはなかった。
ただ、
澪羽のマグの中身は、お
「無理に聞き出そうってつもりはないけどさ、よかったら話してみないか?」
「……」
原因はまるで分からない。
でもさっきの芽衣の様子から考えれば、彼女との間に何かしらのトラブルがあったであろうことは明白だよな。
ほっといて! みたいなことを芽衣が言ってたように聞こえたけど……まあよく分からないうちからあれこれ勝手に
――待つか。
それにしても、最近の芽衣の様子に特におかしなところはない気がするがなあ……。
芽衣が食料物資班にいた頃はよく知らないけど、
「……」
俺は芽衣や澪羽に対して、
それでも、もし何らかのシグナルを
「……あの」
とは言え、仮に気付けたとして、俺に何かしてやれただろうか。
教師だって、別に万能の存在ってわけじゃない。
大体、教え
大事なのはカウンセリングマインドよ。
「……先生?」
そもそも、生徒指導に唯一の正解みたいなものなんてないんだよ。
よくクラスで問題行動を起こした生徒を、先生が追いかけてくみたいなシーンがあるだろ?
まあそういうことがどうしても必要な時だってあるかも知れないけど、あれって置いてかれたクラスの他の生徒たちのこと、下手したら軽んじてるって思われてもおかしくないと思う。
物分かりのいい生徒ばっかりじゃないからね。
だから大事なのは、普段から信頼関係を
「先生!」
「うおっ!」
見ると澪羽がほっぺたをぷうと
どうやら涙はすっかり
「八乙女先生……お話を聞いてくれるんじゃないんですか?」
「え? ああうん、もちろん。話してくれるんなら」
じっと俺の顔を
何だろう……こういう強気な感じの彼女は珍しい気がする。
まあ、あれだ。
何にしても話をしてくれる気になったのなら、それに
「芽衣とケンカでもしたのか?」
「……はい。ケンカって言うか、私が一方的に嫌われただけですけど」
俺の問いかけに、澪羽はそう答えて
一方的に、か。
澪羽が芽衣に何かしたってことなのか。
「心当たりはあるの?」
「……はい」
「こないだザハドからお客さんたちが来た時、ドッヂボールとかバドミントンとか、一緒に楽しそうにやってたように見えたけど」
「はい、まだその時は……」
「お客さんって言えば、夜に子どもたちだけで集まったんだって? リィナから聞いたんだけど、すごく楽しかったって言ってたよ」
澪羽の肩がぴくっと動いた。
そのまま何も答えない。
……この時に何かあったみたいだな。
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