第320話 テレワークの弊害

テレワークをするようになって2年。

すっかり家で仕事をすることが当たり前になった。

 

俺としても朝晩に満員電車に乗って会社に行かなくて済むようになってすごく嬉しい。

妻も、いつも俺が家にいることが嬉しいらしい。

というのも妻はすごく嫉妬深くて、以前は俺が仕事で遅い日が続くと浮気を疑うくらいだ。

 

家で仕事していれば、浮気を疑われることはない。

 

とはいえ、俺も働き盛りであり、性欲だってないわけじゃない。

たまには妻以外の女を抱きたくなることだって、当然ある。

 

もちろん、秘密だが、会社に通っていたときは2ヶ月に1回は仕事が遅くなると言って風俗に行っていたこともあった。

それが2年も我慢してると、やっぱりチャンスがあれば、そういうことがしたい。

 

言い訳させてもらうと、これは浮気じゃなくて男の性って話だ。

 

そんな中、本当に久しぶりに妻が同窓会とかで2日間、家を空けることになった。

最初、妻は同窓会を断ろうか悩んでいたようだったが、せっかくなんだからと言って、俺はなんとか説得した。

 

同窓会の当日、妻は心配そうな顔をしながら出かけて行く。

 

俺はちょっとした解放感に浸った。

そして、当初から予定してあったデリヘルを呼びんで2年ぶりに楽しんだ。

あまりにも久しぶりで興奮したせいか、その日、3回も呼んでしまった。

 

さすがに疲れたから寝ようと思っていたら、妻から電話が来た。

 

「もしもし? なんかあったりしてない? 大丈夫?」

「いやいや。子供じゃないんだから。2日くらい留守番できるって」

「……ねえ、顔見たいからZOOMできない?」

「え? なんでだよ?」

「……できないの? なんかやましいことしてたりして?」

 

妻の鋭い指摘に、俺は疑惑を解消するためにも面倒くさいがZOOMをすることにした。

パジャマから着替えるのが面倒くさかったが、まあ、この際、仕方ないだろう。

そして、ZOOMを繋ぐ。

すると、妻は笑っていた。

 

「なに、その恰好?」

 

俺は、上着はカジュアルな服で、下がパジャマという格好だ。

 

しまった。

つい、いつものテレワークの癖が出てしまった。

 

終わり。












■解説


ZOOMの画面からは上半身しか見えないはず。

では、なぜ、妻は下半身がパジャマだということがわかったのか。

もしかすると妻は部屋に監視カメラを仕込んでいたのかもしれない。

そうすると、3回も呼んだデリヘルのことがバレているということである。

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