第312話 似顔絵

男は5歳の頃、隣に住む画家に似顔絵を描いてもらった。

だが、その当時、男は出来上がった似顔絵に対して、「こんな変な顔じゃない!」と怒った。

 

それから30年後。

事故で入院していた男が、療養のため実家へと戻った。

 

しばらくは安静にしていることと、医者に言われたが暇でどうしようもなかった。

そこで男は家の裏にある倉庫を片付けることにした。

 

すると、30年前に描いてもらった似顔絵が出てきた。

あのときは気に食わなかったが、自分の顔と言われた絵を捨てる気にはなれず、取っておいたのだ。

 

どんな絵だったかと、男は久しぶりに似顔絵を見た。

 

そして、男は愕然とした。

 

終わり。















■解説

画家が描いたのは男の『未来の似顔絵』。

そして、その似顔絵を見て、当時の男は激怒したが、30年後に見た男は愕然としている。

つまり、その似顔絵には事故で傷付いた自分の顔が描かれていた。

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