第311話 退屈な大富豪

その男は大富豪の家に生まれ、幼少の頃から何不自由なく暮らしていた。

興味のあるものは全て買ってもらい、レジャー施設は貸し切りにして、心行くまで遊んだ。

 

大人になる頃には、男はこの世のすべての遊びをやりつくしてしまった。

 

そして、男は退屈な日々を過ごすことになる。

どんな遊びも男にとってはつまらなく感じた。

 

一時はギャンブルにもハマったが、すぐに飽きてします。

さらには奴隷などを金の力を使って買い集め、その奴隷たちを狩るなんてこともした。

 

だが、やはり男を満足させられることはなかった。

 

男は退屈に悩まされる。

退屈で気が狂いそうだった。

 

そこで、男は「退屈を解消できたものに多大な報酬を出す」と宣言した。

 

様々な人間がゲームや乗り物などを持って、男の元にやってくる。

しかし、まったく男の退屈を解消することができなかった。

 

もうダメだと諦めかけたときだった。

男の元に一人の奇術師がやってくる。

 

奇術師はロープにぶら下がるという方法を男に提示した。

男は奇術師の言う通りにロープにぶら下がった。

 

男は二度と退屈することはなかった。

 

終わり。














■解説

奇術師が提示したのは首にロープを括りつけてぶら下がるという方法。

つまり、男は首を吊った。

男は死んでしまったので、もう二度と退屈することはない。

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