第87話 人魚の肉

人魚が生息するという伝説がある島。

その島には、昔、人魚を捕まえ、その肉を食べたという人間がいるのだという。

人魚の伝説を聞きつけ、人魚を捕まえようと人間達が殺到し、海の中を荒らしまわった。

 

海中深くに住む人魚たちは人間達に捕まることはなかったが、人間達が海の生態系を乱したせいで食料がなくなり、人魚たちは絶滅へと向かっていた。

 

そして、ついに人魚は最後の1人となった。

 

このままでは死んでしまう。

そう考えた人魚はある人間に頼ることにした。

 

それは遥か昔、人魚の肉を食べ、不老不死になった男だ。

男は既に人魚の肉を食べて不老不死になっているので、襲われることもないと考えたからだ。

また、男は不老不死ということで、人間の中でも孤立して生きている。

1人という『孤独』というものを、その男なら共感してくれるだろうとも考えた。

 

そして、人魚は不老不死の男の所へと赴いた。

 

しかし、男は人魚を見るなり、襲い掛かって人魚を殺してしまった。

 

終わり。













■解説

男は不老不死になり、そのことを誰にも理解されず孤独だった。

だから、男は『不老不死の人間を増やすため』に人魚を殺し、肉をはぎ取ったのだ。

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