無料ガチャ004回目:姉妹の報告会3【閑話】

 散々泣いて拗ねていたアキだったが、夕食とビールの力で元通りに復活していた。

 そんな姉を愛しく想いつつ、マキはショウタから聞いた現状を説明する。


「えぇぇ……。ショウタ君ったら、いつの間にそんなことに……。レベル30になったときだって、ステータスは悲惨だったし、スキルだって何も持ってなかったのに」

「姉さんって、『鑑定Lv4』だったよね」

「そ、ステータスの詳細も見れるってやつ。あーしくったなぁ、あの時見ておけばよかった。ショウタ君が『アンラッキーホール』を離れるって決めた時、絶対何かあったのよ。じゃなきゃ、あんなに執着して1日たりとも休まなかったスライム達から、距離を置くなんて考えられないもの。しかもいつの間にやら『鑑定阻害Lv4』まで持ってるなんて……。同じレベルじゃ、効果が打ち消し合って何も見れないじゃない。まるでよ、こんなの」

「ふふ、そうかもしれないわね。でも、私はいつかショウタさんの方から教えてくれる日が来るのを、楽しみにしてるの。だから、それまで待つって決めたわ」

「うぐぅ、マキがいつの間にか女の顔になってるぅ……」


 また泣きそうになる姉を宥めて、マキはそれ以外に起きた事、そして今後どうするかについて伝えた。


「うへぇ。ストーカーにお母さんからの試験かぁ。ショウタ君も大変ね」

「そうなのよ!」

「まあストーカーは、何となく顛末が読めるから置いとくとして」

「お、置いとくんだ」

「試験の方は、ショウタ君には悪いけどいつもの事だし仕方がないと思ってしまうわ。あの時のマキの事、一番近くで見てたのはお母さんだもん。マキが冒険者に肩入れしすぎないように、無茶な内容を要求して専属を諦めさせようとしてるのよ。やり方は乱暴だけどね。そんな無茶くらい簡単に跳ね返せそうな実力者じゃないと、あの人は安心できないってことね」

「だけど、あんな難しい条件なんて! もし今回上手く行かなくて、失敗なんてしたら」


 ショウタ君に提示された条件は、今まで以上に重かった。そして危うく命を落としかけた。だから、マキは納得できないのね。そうなった理由まで、読み取れていないから。

 まあ、あたしにはわかっちゃったな~。条件の難易度が爆上がりした理由。


「ねえマキ。実力を見誤ってレアモンスターを狩りに行くような奴が、長生きできると思う?」

「そ、それは……」

「でしょ。もしそこで倒されるようなことになるのなら、遅かれ早かれダンジョンで死ぬわ。ダンジョンはどんなに足搔こうと、実力に見合わない対価を求めたら、命を飲み込んでしまう危険な場所であることに変わりはないのだから」

「……」

「それに、多少の無茶と無謀があったとはいえ、ショウタ君はそんな逆境を乗り越えて、戻ってきてくれた。そうでしょ?」

「……うん!」


 けどそれは結果論だ。

 お母さんは知らないんだろうけど、ショウタ君とマキとの関係は、今日昨日で始まった話じゃない。最低でも2年近い関わりがあるんだもの。そこに危機感の足りてないショウタ君だ。

 もし今日のレアモンスターとの戦いで彼が亡くなってたら、ショウタ君のおかげで立ち直っていたこの子はきっと……。


「姉さん?」

「ううん、なんでも。あと、ショウタ君もマキも気付いてないから言うけど、お母さんは真の意味でのも警戒してるのよ。娘がその気になってる相手の実力は、知っておきたいじゃない?」

「は、はうぅ……」


 真っ赤になっちゃって、可愛いんだから。

 しっかし、初期装備のまま2層のレアモンスターに挑むなんて、本当に危機感足りて無さすぎるのよ。どれだけ無謀な事をしたのか分かってるのかしら。マキだけじゃなく、あたしを心配させた責任は取ってもらうんだから。

 危険な目に遭った事だし、今回の事をちゃんと反省してくれてれば良いんだけど……。ま、マキを悲しませるようなことはしないと思いたいわね。男らしい約束をしたみたいだし?


「……それで、今後危険な事を回避させるためにも、彼の強さを元に適切な装備を用意してあげたい。ってことね?」

「うん。ショウタさん、今までずっと鉄の装備で、グレードアップする必要もなかった。だから、どの装備がどんな性能をしているかなんて、全く知らないの」

「それはそれで、冒険者としてどうかとは思うけどね」

「本来、それを教えるのが姉さんの仕事なんですけどー?」

「……ハイ」


 ぐうの音も出なかった。

 でも、危機感があればもうちょっとマシな装備にしようって発想くらいあるはずなのよ! 鉄より上に乗り換えるくらいのお金はあるはずだもん!

 

「おほん。だから、ショウタさんにピッタリの装備を用意してあげようよ。勿論お金に限度額は無しで。さっきお母さんから連絡があったけど、最低価格3500万からスタートするらしいの」

「結構いい値段になってるわね。の競売に出るのは3ヵ月ぶりだし、5000は硬いでしょ」

「うん。だから協力して、姉さん。『私の』ショウタさんの為に」

「ちょ、そこは『あたし達の』、でしょー? じゃ、オークションもまもなく開始みたいだから、中継映像みながら装備の吟味をしていきましょ」


 妹に心からの笑顔が戻った。

 ならあとは、これを曇らせたりしないよう全力でお膳立てするだけよ!


 ……それにしても、苦手意識持たれてたなんて。失敗しちゃったな。

 今度あったら、て、て、手加減くらい、してあげようかな。

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なろうで日間・週間ともに1位をキープしている為、宣言通り今日は4話投稿します(5/4)

5話目です。明日からまた2or3話に戻します

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