第27話 妹からの忠告
寺山さんと上白根との特訓を終えて、俺は彼女たちを送り届けて岐路へと着いた。
「ふぅ……」
寺山さんを自室へ迎え入れるということから、色々気を張っていたのだろう。
家に着いた途端、どっと疲れてが襲ってきた。
俺はひとまず、自室へ戻ることにする。
そして俺にはもう一つ、絶対にやらなければならないことがあるのだ。
「寺山さんが座ったベッド……ぐへへ」
誰かに聞かれたらお縄案件間違いなしの気持ち悪い発言。
しかし、好きな女の子が、水着姿でベッドの上に乗っかっていたのだ。
微かに残っているであろう温もりや、寺山さんの匂いを合法的に嗅ぐことの出来るチャンス……!
今日は、いい夢が見れそうだぜ。
俺はルンルン気分で風呂に入ってから、満を持して部屋の扉を開け放つ。
「あっ、お兄ちゃん。勝手にベッド使ってるよー」
「Nooooooooooooo――――――――――――!!!!!」
なんということでしょう。
俺のベッドに寝転んで、妹がくつろいでいるではありませんか。
あぁ……寺山さんの温もりがぁ……。
「ん、どったのお兄ちゃん? そんなに落ち込んで?」
俺は悲しみのあまり、むせび泣くことしか出来なかった。
くそぉぉぉぉーーー!!!
せっかくのチャンスが妹の温もりと匂いに上書きされてしまうなんてぇぇぇーーー!!!
「……愛実、もう俺だめかもしれない」
「えぇ⁉ 急にどうしたの?」
「もういいんだ。こんな兄でごめんな」
「何かよくわかんないけど、凄い面倒くさい感情なんだなって事は分かったよ」
妹はジトーっとした視線を向けてくる。
誰のせいだと思ってるんだこの野郎。
倍返しで睨み返してやろうか?
あ“ぁ?
だがまあ、俺もそこまで技量が狭い男ではない。
残念な気持ちをぐっと飲み込んで、妹へ語り掛ける。
「んで? どうして兄のベッドで愛実がくつろいでるわけ?」
「ん? あーそうそう。お兄ちゃんに伝えておこうと思って」
「何だ?」
「私、ミスコン出るかもしんない」
「おう、そうか。良かったな」
「えっ、いいの? お兄ちゃん、絶対に反対すると思ってたのに?」
「だって、別に断る理由がないだろ。妹がミスコンに選出されるなんて、兄として光栄だぜ」
俺の返答が意外だったのか、愛実は目をパチクリとさせて驚きを隠せない様子。
「……本当にいいの?」
「なんだよ。そんな念押しみたいに聞いてきて……」
「だってミスコンだよ⁉ 文化祭の一大イベントだよ⁉ 私、あられもない姿を下衆な男の人にいやらしい目で見られることになるんだよ⁉」
「おい待て愛実。やっぱり前言撤回だ。お前には十年早い」
愛実をそんな猛獣たちの前に出せるわけがないだろ!
俺の目が黒いうちは、愛実には指一本触れさせん!
「だよね。お兄ちゃんならそう言うと思ったよ。もー、お兄ちゃんはシスコンなんだからしょうがないなぁー。仕方がないから、推薦されたとしても辞退することにするよ」
「えっ……い、いいのか?」
「うん。だって、お兄ちゃんが嫌だって思うことはしたくないもん」
「愛実ぃぃぃー!!!」
俺は思わず、愛実の元へと向かって行き、思い切り後ろから抱き締めてしまう。
「もう、相変わらずお兄ちゃんは……でもそうだよねー」
愛実は小悪魔的な笑みを浮かべたかと思うと、そのまま口を耳元へと近づけてきて――
「私のおっぱいは、お兄ちゃんだけのものだもんね♪」
甘美な言葉を漏らしながら、身につけている部屋着をぺろりと捲り、俺に胸元を見せつけてくる我が小悪魔妹。
「はいはい、そういうことはやめなさい」
「谷間ガン見しながら言われても、全然説得力ないし」
「う、うるせぇ!」
「まっ、からかうのはこの辺にしておいて」
そう言って、愛実は捲っていた部屋着を元に戻してしまう。
あぁ……妹のEカップおっぱいがぁっ!
俺がちょっぴり悲しい表情を浮かべていると、愛実がにやりと悪い笑みを浮かべて――
「とりゃっ!」
「うぉっ!?」
今度は愛実が俺に飛びついてきて、そのままベッドへ押し倒されてしまう。
ベッドにボフンと着地した俺の頭は反発して跳ね返り、正面にある愛実のEカップおっぱいへと埋まった。
「んごっ!?」
むにゅりと感じる、愛実の胸の弾力。
コイツ、またちょっとおっきくなったんじゃねのか⁉
そんな感想を抱いていると、愛実が俺の顔を自身のおっぱいに埋めながら、真面目な口調で尋ねてくる。
「ねぇ、最近さ、桂華と何かあった?」
「んっ……桂華ちゃんと? どうしてだ?」
「いや、実は今日ね、桂華が凄い悲壮感漂う雰囲気醸し出してたから、お兄ちゃんと何かあったのかなぁーと思って。どうかしたの? って聞いてみても、『なんでもないよ』の一点張りだったから」
そう言えば俺、寺山さんに特訓を頼まれたことに浮かれていて、桂華ちゃんを蔑ろにしちゃってたな……。
悪いことをしてしまったと反省する。
「お兄ちゃん。もし経過を傷つけるような事したら、私、許さないからね?」
「わかってるよ、それぐらい」
「本当かなぁ? 妹のおっぱいから離れない変態お兄ちゃんの口で、よくそんなことが言えるねぇー」
そう言って、愛実はさらに体重を預けてきて、俺をおっぱいで押し潰してくる。
「んごげがごががが、ぎげぐぐがががごぉ!(それはお前がシてくるからだろ!」
とまあ、そんな感じで、今日も妹のおもちゃにされるのであった。
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