火の妖精の愛し子と旅人の青年1

金色の虹彩こうさいに赤い瞳は災いをもたらすーー。


誰が言い出したかは知らないが、不愉快極まりない。




グローリアは髪色はその辺のどこにでもいる黒色なのだが、瞳の色は鮮やかな紅色に金色の虹彩なのだ。

その噂のせいで随分と嫌な思いもした。

だがグローリアはこの瞳を嫌ってはいない。

この瞳を持っているからこそ孤独にはならないからだ。


何故ならーー


『グローリア』


名を呼ばれてそちらに視線を向ける。

そこにいたのは褐色の肌に朱色の髪、朱金の瞳を持つ美丈夫だ。


火の妖精。


常人には彼の気まぐれがないと見えない存在。

だがグローリアには常時彼の姿が見え、声が聞こえ、触れることができる。

それはこの瞳があるからだ。

この瞳が特別なものだと教えてくれたのも彼だった。

誇らしげな様子だったのを今でも覚えている。



***

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る