第23話  小さき者に習う。様々な感じ方

 扉を開けた向こう側は、部屋自体は明るいが、壁や置かれている家具などは、暗めで床には、絨毯が敷かれていた。


「これが、貴族のお部屋」

「いい香りも、しますね!」

 クロンダイクの客室が、決して劣っている訳ではなく、こちらはこちらで味がある。エルフは、川で身を清めるため、お風呂はない。


「勇者さまは、荷物置き終わったら、私と魔法のとっくんだから、はやくしってね~! 裏庭でまってるからッ!」


「はーい」

 面倒くさそうに、返事をする。ガーリンはまだ好きになれないが、信頼を勝ち取らねば、至高の酒を貰えないので、我慢するしかない。行かない選択肢があるなら、もちろんいかない。


「私が、荷物運んでくるから、エルナ行ってきていいですよ!」

 なんて、気の利いた子。


「う、うん! それじゃ、お言葉に甘えて行ってきます」

 後を追いかけ、部屋を飛び出し、裏庭を目指して走り出した。


「いってらっしゃいませ。エルナ様」

 カナリアの送りの言葉も聞こえない程に。


―――裏庭―――


 大樹の真下、人が座れるぐらいには、根っこも太く、実際にガーリンが座っているし。木漏れ日と風が相まって心地いい空間になっている。


「あら、来たんだぁ、しっぽ巻いて逃げる、みっともなぁ~~~い姿見せてくれると、おもったのに」

「習うよ。強くなりたいし」

「いいわ、おしえてあげる! って言っても、なに教えようかなぁ」

 悩みながら、うろちょろして、ガーリンが思いついたのは。


「そうだ! 魔力量をまずは、見ないと」

 といい、エルナの額に自身の額をくっ付ける。もわもわっとした何かを感じる。数秒がたって、ガーリンが放つ言葉は。


「死ぬほど、少ない……ちょっと、私でも同情するぐらい……」

「そ、そんなに、少ないの……!?」

「多分、天使だからかな。まッ! 私にかかれば、魔力量を増やすのなんて、簡単だから!」

「お願いします……」

 あっれ……私ってそんなに才がないのかな。




「まずは、便利アイテムをあげちゃう前に、魔力について、知ってるかな?」

「魔法を、打つために必要な力?」

「うん、バカみたいな答えだけど、そんなことほっといて、魔力は、精力からなる力の根本。つまりは、“エロス性愛”!!」

「ん!? うん、そうか、エロスか」

 エルナは、考えてはダメだと、分かったふりをする。


「そこで、……えーっと、あった媚薬MPポーション! これを、飲めば一時的だけど、ものすっごく魔力があがるから!」

 亜空間から、取り出し手渡された、MPポーションは小さな瓶だった。エルナはそれを、受け取った。


「これ、飲めばいいの?」

「そう!」

「それでは、いただきます」

 キャップをあけて、入っている液体を飲み込んだ。味は苦みはあれど、甘い感じがした。


「どう? 初めて飲んだんじゃない?」

「うん、でもどっかで、飲んだ気もする。原料は何なの?」

「それは、もちろん、私の愛液!!」

 ウフっと笑い、それを、聞いた瞬間、私はさっき飲み込んだ物を吐き出したくなった。


「なんてもん、飲ませるんかい!」

「だって、それしかなかったんだもーん。それとも、きったな~~いおじさんの奴がよかった?」

「そういうことじゃないよ……」

 

 ちょっぴり、呆れたが、知らぬより、知っていた方がいいとも感じた。しかし、ながら、なぜこれを飲んだことがあるように感じたのだろうか。

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